今、苦境に陥っている業界の1つが観光であり宿泊業だ。コロナ禍の前まで盛況だったインバウンド(訪日外国人)という「外」からの需要は消滅、また人の移動がたびたび制限されてきたことで「内」の需要も大幅に減るという危機がやって来た。

確かに政府の観光支援策「Go To トラベル」によって一時的には息を吹き返したものの、首都圏1都3県などに緊急事態宣言が再発令され、また試練に直面した形だ。
きっと苦しい表情を浮かべているに違いない。そう思って、大手デベロッパーの森トラスト(東京・港)に話を聞いた。同社も都心部の大型複合開発を進め、東京など都市部でのホテルやリゾート事業を手掛けている。だが反応は、「コロナ禍が収束すれば需要は回復する。だからこそ新たなホテルの開発を着実に進めている」。伊達美和子社長に悲壮感はなかった。
経営上、唯一明らかなこと
前回2020年春の緊急事態宣言下では、運営するホテルやリゾート17施設を一時、臨時休館にした。今回も宣言の効果は読みにくく、これで本当に新型コロナの感染拡大が収まるのか、予断を許さない。それでも伊達氏は淡々と話す。
「経営において唯一確実なのは、それが不確実であるということ」
不確実なのは当たり前、むしろその不確実性こそ経営上、唯一、分かっていることというわけだ。この考え方は、伊達氏は2人のファウンダーの教えから学んでおり、「たまに思い出すというレベルではなく、血肉として染み付いている」のだという。

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