「寧徳時代新能源科技(CATL)には絶対に負けられない。開発・生産準備の生産性を従来の10倍に引き上げることで、信頼性や性能はもちろん、コストでも勝負できるようにする」

 トヨタ自動車が51%、パナソニックが49%を出資して2020年4月に設立したプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)の好田博昭社長は1月半ば、日経ビジネスの取材に応じ、そう力を込めた。

提携を発表したトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長(写真:共同通信)

 パナソニックは円筒形の車載電池を米テスラに供給する一方で、旧三洋電機の流れをくむ角形車載電池も手掛けてきた。角形はコスト面では円筒形に劣るが、積載効率が高い。

 その生産・開発の現場にトヨタ生産方式を持ち込むことで価格競争力を劇的に引き上げる。それがトヨタ出身の好田社長に課された使命だ。電池と自動車の両雄が手を組んだPPESは、「世界最高峰の車載電池メーカー」を自任する。だが、内心は穏やかではない。

 PPESはHV向けの高出力型のリチウムイオン電池では19年の販売台数ベースで世界シェア25%と首位に立つ。ただ、1台当たりの電池容量がHVのおよそ50倍に達するEV向けの高容量型電池では、同3%の世界8位。コストや規模で先行する首位の中国CATLの23%に及ばない。

 富士経済は35年の世界の電動車販売が19年比7倍超の約3600万台に達し、8割以上をEVとプラグインハイブリッド車(PHV)が占めると試算する。高容量型の巨大市場で地位を確立できなければその先の成長は見込めない。

鉱山に入ってカイゼン

 開発に時間がかかり、生産設備も高額な電池は、「売上高に対する設備投資と開発費の割合が自動車の約4倍に達し、コスト面でネックになっている」(好田氏)。車種ごとに独自開発してきた電池を標準化するなどして、開発の時間と費用を圧縮。生産設備のコストも半減させる。

 さらに、サプライチェーンの最上流に遡って原価低減を図る。車載電池の主流であるリチウムイオン電池ではリチウムが原価の1割程度を占めるとされる。テスラがリチウム粘土鉱床を取得し、自らリチウムの確保に動いたのもこのためだ。

 PPESの好田社長は19年11月、アルゼンチンのリチウム生産現場を訪ね、「不純物を取り除くための膨大なエネルギーを半減できる可能性がある」と判断。リチウムを産出する塩湖でカイゼンとムダトリを始めている。

 菅義偉政権は20年12月、30年代半ばに新車販売のすべてを電動車にすると発表した。呼応するかのように、自動車メーカーも電動化に向けた施策を相次ぎ打ち出している。

 日産自動車は1月27日、30年代の早い時期に、主要市場である日本、中国、米国、欧州に投入する新型車をすべて電動車にするとの新たな目標を発表した。「急速な電動化によって電池の調達はひっ迫する。自動車の特性に合った電池開発を進める必要がある」(日産)。ホンダもEV「Honda e」を昨年市場投入するなど、30年までに3分の2を電動車にする計画だ。

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