新型コロナ感染症のニュースが日々報道され、右肩上がりで増えていく感染者数のグラフに、不安を募らせる人も多いだろう。ベストセラー『ファクトフルネス』では、データを基に判断すべきだと説くが、実際にどのデータを見ればよいのだろうか。今春、新型コロナウイルスに関する情報リテラシーについて解説したnote記事が大きな反響を呼んだ安川新一郎氏に、コロナ禍でのファクトフルネス思考について聞いた。

<span class="fontBold">安川新一郎(やすかわ・しんいちろう)</span><br />投資家、著述業、コンテクスター、Great Journey LLC代表、Well-Being for PlanetEarth財団理事。日米マッキンゼー、ソフトバンク社長室長/執行役員、東京都顧問、大阪府市特別参与、内閣官房CIO補佐官等、国内外、内資外資、官民の様々な役職を歴任。日経COMEMOでも時事をテーマに幅広く記事を執筆(https://note.com/syasukaw)
安川新一郎(やすかわ・しんいちろう)
投資家、著述業、コンテクスター、Great Journey LLC代表、Well-Being for PlanetEarth財団理事。日米マッキンゼー、ソフトバンク社長室長/執行役員、東京都顧問、大阪府市特別参与、内閣官房CIO補佐官等、国内外、内資外資、官民の様々な役職を歴任。日経COMEMOでも時事をテーマに幅広く記事を執筆(https://note.com/syasukaw)

 世の中の事象を「構造と文脈」という視点から読み解くための情報発信をしています。特に、新型コロナウイルスに関する情報のリテラシーについて解説した記事には多くの反響をいただき、企業向けの講演でお話しする機会も増えています。

 

 新型コロナのように、誰もが想定外だった危機に面したときに、気を付けなければならないのが数字やデータのミスリードです。状況を正しく把握するには数字やデータを見ることが大事ですが、何の数字を見るかも同じくらい重要になります。

 

 例えば、国内の感染状況を理解するために、どの数字を指標とすべきか。多くのメディアがトップ見出しに使い続けてきたのは「感染者数」ですが、果たして“今見るべき数字”はそれなのか、常に冷静な判断と選択を繰り返さなければなりません。

 

 重要なのは、「フェーズごとに見るべき指標は変わる」という構えです。同時に、その指標を見る目的もセットで理解していること。実際に私がどんな数字を見ていたかを簡単に紹介します。

第3波の今、見るべき指標は「重症者数」?

 夏に「第2波」と呼ばれた感染者数増が報道されていた時期、私が注視していたのは、「重症者数」「重症化率」と「病床占有率」でした。春以降にウイルスが変異で毒性が増していないかを知るために重症者数と重症化率を、医療が対応できる状況にあるのかを知るために病床占有率を見ていたのです。

 
厚生労働省が発表するオープンデータで作成。
厚生労働省が発表するオープンデータで作成。
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 さらに長期化したフェーズでは、「抗体保有率」もチェックします。PCR検査の体制は維持できているか(1日当たりの検査数)と併せて、定期サンプル調査による抗体保有率を見ることで「市中感染」の状況を見るというわけです。6月時点で、ソフトバンクグループが従業員と医療従事者約4万4000人を対象に実施した抗体検査の結果は、0.43%。当時、私はこの数字を見てとても安心したのを覚えています。もちろん、市中感染が今後急拡大する可能性もありますので、引き続き追いたい数字です。

続きを読む 2/3 過去最多!どんどん悪くなる!に翻弄されないために

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