「カメラで見守り」など、消え去った“あだ花”機能

 ロボット掃除機の注目度が高まって各社が競い合ううちに、さまざまな機能を搭載する商品が登場して進化し、あるいは消えていった。シャープが2012年に参入して発売し、やがて終売・撤退した「COCOROBO(ココロボ)」もその1つだ。

 シャープの「COCOROBO RX-V200」は本体上部にカメラを搭載したが、これはいわゆるビジュアルSLAMのために付けたものではなかった。同社は超高齢化社会となっている日本市場で高まる「見守り」や「コミュニケーション」に着目した。独居高齢者の孤独死などが社会問題になって久しく、象印マホービンは2001年に電気ポットを使って安否(使用状況)を確認できる見守りサービス「みまもりほっとライン」をスタートするなど、「高齢者の見守り」は大きな社会テーマとなっていた。シャープは2011年3月から同社の液晶テレビAQUOSシリーズを対象にし、テレビの使用状況をメールでお知らせする見守りサービスを開始しており、このコンセプトを基にロボット掃除機にも展開したというイメージだ。

シャープが2013年12月に発売した「COCOROBO RX-V200」
シャープが2013年12月に発売した「COCOROBO RX-V200」

 本体が360度回転しながら内蔵カメラが90度ずつ、4枚の写真を撮って送信することで部屋の状況をスマートフォンアプリから確認できるだけでなく、指定した場所まで遠隔操作で移動させてから撮影できるという機能も搭載。赤外線リモコン機能を使って自宅内のエアコンや空気清浄機などの家電をスマートフォンアプリから遠隔操作できるほか、COCOROBO本体に声をかけて掃除をスタートしたり、天気を教えてもらったりする音声コミュニケーション機能まで搭載していた。Google HomeやAmazon Echoシリーズなどのスマートスピーカーのような機能をいち早く取り入れた意欲的なモデルだった。現在はカメラセンサーを利用したビジュアルSLAM機能を搭載するモデルも増えているが、COCOROBOシリーズのような見守り機能を搭載するモデルは出てきていない。搭載するのが早すぎたことと、疾風のようにあっという間に駆け抜けてしまったのが、あだ花となってしまった大きな理由なのかもしれない。

 一方で、消えてしまったかと思いつつ、復活した“あだ花”もある。東芝が2014年に発売した「トルネオ ロボ」に採用した、充電台とサイクロン機構を一体化した「ダストステーション」だ。これは本体が清掃後に戻ると自動的にサイクロン機構が作動し、本体のダストボックスにあるゴミを自動吸引することで、本体のダストボックスを取り外してゴミを捨てるという手間を軽減してくれるというものだった。東芝はロボット掃除機から撤退してしまったが、その原因の一つがこのダストステーションのような日本企業らしい“やりすぎ”機能にも思えた。しかし“本家”アイロボットジャパンが2019年に発売した「ルンバ i7+」でダストステーションを採用したことで、この“あだ花”的な機能が復活したのは皮肉なものだ。

東芝が2016年に発売した「トルネオ ロボ VC-RVS2」
東芝が2016年に発売した「トルネオ ロボ VC-RVS2」
アイロボットジャパンが2019年に発売した「ルンバ i7+」
アイロボットジャパンが2019年に発売した「ルンバ i7+」

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