スマートフォンアプリと連携し、掃除結果の可視化や遠隔操作が可能に

 Wi-Fi機能を内蔵し、スマートフォンアプリと連携するようになったのもSLAMを搭載した頃からだ。それまでの掃除機がほぼランダム走行していたため、掃除機自体が清掃状況を詳細に把握できていなかった。それに対してSLAMを搭載したロボット掃除機は、どこをどのように掃除したのかを詳細に把握できるようになったことから、各社が部屋のマッピング結果や清掃経路をスマートフォンアプリで可視化できる機能を続々と搭載し始めた。

 Wi-Fi経由で自宅のインターネット環境に常時接続できることから、スマートフォンアプリを介した遠隔操作やスケジューリング設定なども行えるようになった。従来のスケジューリング機能の多くは、何曜日の何時からスタートといった設定しかできなかった。しかし遠隔操作が可能になったことで、外出時に掃除をスタートし忘れたときや、不意の来客に備えて帰宅前に掃除したいといったニーズに応えられるようになった。

 マッピングができるようになったことで、アプリ上で「進入禁止エリア」の設定ができるモデルも登場した。ルンバシリーズの「バーチャルウォール」のように赤外線を発することで進入禁止エリアを設定できるものもあったが、アプリのマップ上で四角く囲むだけで、複数の進入禁止エリアを設定できるようになった。子供のプレイスペースやペットのエサ・水、トイレスペース、配線などにからまって立ち往生しやすいパソコンデスク周りなど、ロボット掃除機に入ってほしくないスペースは少なくない。そうしたスペースをまとめて拒否できるようになったのは、ユーザビリティの面で大きな進化と言える。

ルンバシリーズ向け「iRobot Home」の画面
ルンバシリーズ向け「iRobot Home」の画面

形状でルンバとの差異化を図る他メーカー

 ロボット掃除機の第一人者であるルンバシリーズといえば、多くの人がその丸型フォルムを思い浮かべることだろう。しかし壁際や角なども含めて、部屋全体をくまなくしっかり掃除するためには、決して丸型フォルムはベストなものではなかった。

 もともとのルンバシリーズは本体中央部に吸引口を、その左右に車輪を配置するスタイルになっていた。吸引口の幅は本体幅の半分程度しかなく、そこまでゴミやホコリを集めるためにサイドブラシでかき集めるようになっていた。

 こうしたスタイルに対して差異化を図ったのが、先述のネイトロボティクス「XV-11」だった。XV-11はレーザーSLAMに加えて「D型フォルム」を採用しており、吸引口を前方に配置することで本体幅いっぱいまで吸引口を広げることに成功しただけでなく、ルンバシリーズのようなサイドブラシを搭載していないのも大きな特徴だった。

 パナソニックが2015年に発売した「RULO(ルーロ)」シリーズは、19世紀のドイツの機械工学者、フランツ・ルーローが開発した「ルーローの三角形」を採用したのが特徴だ。これは三角形の角が部屋の隅に入り込みながらサイドブラシでゴミをかき集められるようにしただけでなく、吸引口を本体前面に広く配置することに成功した。D型フォルムは壁際や角を効率的に掃除するのに最適な形状ではあるものの、椅子の脚の間などに入り込んだ後にうまく方向転換ができない危険性がある。その点、ルーローの三角形は円と同様にすべての幅が一定な定幅図形のため、入り込んだ後に方向転換ができない危険性が全くといっていいほどないのがメリットだ。

ルーローの三角形をモチーフにしたパナソニック「ルーロ」シリーズの最新モデル「ルーロ MC-RSF1000」
ルーローの三角形をモチーフにしたパナソニック「ルーロ」シリーズの最新モデル「ルーロ MC-RSF1000」

 吸引口を前面いっぱいに広げてサイドブラシを搭載しないスタイルは、ダイソンの「Dyson 360 Eye」や「Dyson 360 Heurist」(2019年3月発売)などにも採用されている。ダイソンは回旋性能に難のあるD型フォルムではなくて丸型に近いフォルムを採用しつつ、ブラシバーと吸引口を前面に配置し、本体幅いっぱいに広げることに成功。一般的なタイヤではなく、キャタピラー(米キャタピラー社の商標)の呼び名で知られるベルト駆動式転輪(無限軌道)を採用するのもほかにはない特徴となっている。

ダイソンの最新ロボット掃除機「Dyson 360 Heurist」
ダイソンの最新ロボット掃除機「Dyson 360 Heurist」

 ちなみにアイロボットジャパンが2020年2月に発売した「ルンバ s9」シリーズは、同社として初めてD型フォルムを採用した。初代モデルから丸型フォルムを採用していたルンバシリーズだが、清掃面ではメリットがあるものの、動作面(回旋性能)でデメリットがあったため、採用し切れていなかったのだろう。今後すべてがD型フォルムになるのではなく、恐らくプレミアムラインからエントリーラインまで用途に応じてフォルムも使い分けていくのではないかと思われる。

アイロボットジャパンが2020年2月に発売した「ルンバ s9+」
アイロボットジャパンが2020年2月に発売した「ルンバ s9+」

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