白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれたのも今や昔。カラーテレビ、クーラー、自動車が「3C」だとか「新・三種の神器」などと呼ばれた時代もあったが、現在、家電「新・三種の神器」と呼ばれるのがドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食器洗い乾燥機の3つだ。共働き家庭が年々増加する中で、家事の時短を実現する家電として注目を集めている。

 水の硬度などの問題から高温水で洗うニーズがあるなどの理由で普及が早くから進んだ欧州に比べて遅れたが、国内でドラム式洗濯機の普及が進んだのは2000年ごろだ。その魅力は第一に節水性の高さにある。

 少量の水を使って上からたたきつけるようにして汚れを落とすため、たっぷりと水をためてかくはんすることで洗浄する縦型に比べて大幅に節水できるのがドラム式の特徴だ。衣類が水平方向に回転する縦型と違って垂直方向(上下)に回転することで、温風を衣類全体にまんべんなく行きわたらせられるため、縦型より乾燥効率が高いのも魅力だ。

 その最新事情を見てみたい。

温風乾燥する「ヒートポンプ方式」で省エネ&衣類の縮みも抑制

 ここ10年ほどで一気に様変わりしたのが乾燥方式だ。もともと洗濯乾燥機の乾燥機能はヒーターを用いていたが、2005年にパナソニックが世界で初めてヒートポンプ方式を採用した。ヒートポンプ方式はエアコンに用いられている方式で、冷媒を経由して室内機と室外機の熱交換を行うというもの。冷房の場合は室内機から冷たい乾いた風を、室外機から温かい乾いた風を出し、室内機で結露した水を室外機から排出する仕組みになっている。この室内機の冷却機能で洗濯槽内の湿った空気を除湿し、室外機の排熱機能で同じく洗濯槽内の乾いた空気を暖めることで、熱風ではなく60℃程度の温風で乾かすのが特徴だ。エアコンがオイルヒーターや電気ファンヒーターなどに比べて省エネなのと同様に省エネを実現しているだけでなく、100℃前後の熱風で乾かすヒーター方式よりも衣類が縮みにくいのも魅力となっている。

 日立は2008年に発表した独自の「ヒートリサイクル方式」を現在も採用している。これは運転時にモーターから発生した熱や、乾燥時に高速風を送り出すジェットファンモーターの熱などをリサイクルして乾燥に用いつつ、補助熱源としてヒーターを組み合わせるというものだ。使用水量、消費電力量ともにヒートポンプ方式と大きな違いはない。

日立グローバルライフソリューションズの「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-NX120F」
日立グローバルライフソリューションズの「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-NX120F」

 当初は上位モデルがヒートポンプ(ヒートリサイクル)方式、下位モデルはヒーター方式を採用するメーカーが多かったが、現在ではほとんどのモデルがヒートポンプ方式を採用している。ちなみに縦型洗濯乾燥機の乾燥機能は現在もヒーター方式が採用されている。乾燥時の熱を再利用するモデルなどもあるが、乾燥時の消費電力量はヒートポンプ方式の2倍以上はあると考えていい。

大風量でシワを伸ばす機能やふんわり仕上げる機能にも注目

 乾燥方式としては現在ヒートポンプ(ヒートリサイクル)方式が主流だが、乾燥機能の仕上がりに早くから着目したのが、日立が2007年から採用する「風アイロン」だ。これはジェットファンモーターを使って乾燥時に時速約300kmもの高速風を衣類に当てることで、衣類のシワを伸ばすというもの。もちろん完全にアイロンを当てたような仕上がりにまではならないものの、かなり風合いの向上につながっているのは確かだ。

 ヒートポンプ方式が主流になる中で、あえて「サポートヒーター」を組み合わせた「ぽかぽか・おひさま乾燥」を採用するのがシャープだ。低温・省エネなヒートポンプ方式に加えて、乾燥開始時と終了前にヒーターを使うことでふんわりと仕上げるというもの。シャープは蒸気を機外に放出しない無排気乾燥を行うことで省エネ性が高いのも特徴だ。

シャープの「ES-W113」
シャープの「ES-W113」

 ドラム式洗濯乾燥機は乾燥フィルターを洗濯のたびに掃除しなければならないのが難点の一つだが、シャープはそこにも注目し、2018年から乾燥フィルター自動お掃除機能を搭載した。これは乾燥運転終了後にフィルターにたまったホコリをこそげ落としてダストボックスに収納するというもので、エアコンのフィルター自動掃除機能に似たものと考えていい。他社ではフィルターを掃除しやすいように設計を見直したりしているが、そもそもその手入れを省いてくれるのはかなりの魅力だろう。

液体洗剤・柔軟剤自動投入機能から、遠隔操作、2度洗い機能にも展開

 最近のトレンドになっている便利機能は、パナソニックが2017年モデルから搭載し、他社も続々と追随した「液体洗剤・柔軟剤自動投入」機能だ。これはタンクに入れた液体洗剤と柔軟剤を、洗濯物の量に応じて自動的に計量して投入してくれるというもの。現在はほとんどのメーカーが上位モデルに搭載しており、縦型洗濯機に採用しているメーカーもある。30Lの水に対して何グラムという使用量を設定するだけで、あとは自動で行ってくれる。洗濯からすすぎ、脱水まで自動的に行う洗濯機を全自動洗濯機と呼ぶようになったが、洗剤、柔軟剤まで自動投入できるようになって、まさに全自動化が完成したといえる。

パナソニックの「NA-VX900B」
パナソニックの「NA-VX900B」

 これによって登場したのがWi-Fi経由でスマートフォンアプリと連携するスマート家電機能だ。衣類をセットしてドアを閉めておけば、外出先から洗濯を開始したり、予約運転を設定したりできる。運転状況を確認するといったことも可能だ。スマートフォンアプリ連携対応のモデルなら、洗剤や柔軟剤の銘柄を指定するだけで投入量やすすぎ回数を設定できる。運転終了予告や終了お知らせなどをしてくれるモデルもあるので、取り出し忘れなどを防ぐことができる。

 さらに注目したいのが、最新の「2度洗い機能」だ。ドラム式洗濯機の汚れ落ちは縦型洗濯機に遜色ないレベルにまで上がっているものの、相変わらず弱点なのが「泥汚れ」だ。また、少ない量の水で洗浄するため、せっかく落ちた汚れがほかの衣類に移ってしまう場合もある。そこで1回洗濯して1~2回すすぐというのではなく、1回洗濯して1回のすすぎと脱水を行い、さらに洗剤を投入して2回目の洗濯を行うという2度洗い機能がパナソニックと東芝から登場した。これも液体洗剤・柔軟剤自動投入機能を搭載したからこそ実現した機能といえる。

 日立の場合はエアコンなどでもAI(人工知能)を売りにしているが、洗濯機でも「AIお洗濯」を売りにしている。これは複数のセンサーで洗濯時のさまざまな状況をセンシングし、洗剤の種類や布質、汚れの量、水の硬度、布動きなどの状況に合わせて洗い方や運転時間などを自動で制御するというもの。2度洗い機能は備えていないが、汚れの量が多い時は洗濯時間を延長したり、すすぎ水がきれいになったら時間を短縮したりするなど、自動的にコントロールしてくれるのが魅力となっている。シャープも7つのセンサーによって自動で最適な運転パターンを選択し、電気や水の無駄を省いた運転をするとしているが、時間を延ばしても洗い上がりを重視するという方向性は最近の新しいトレンドといえる。

洗濯機能は各社が「泡」「高圧」「温水」などを訴求し、コースも充実

 便利な乾燥機能や最新の液体洗剤・柔軟剤自動投入機能などを紹介してきたが、洗濯機のメイン機能である洗濯性能ももちろん進化している。

 シャープは高圧シャワーノズルから水道水を毎秒100万個以上の微細な水滴にして衣類に噴射する「マイクロ高圧洗浄」を採用。東芝は直径1μm未満の微細な泡「ウルトラファインバブル」が洗剤の洗浄成分とAg+抗菌水ユニットの抗菌成分を衣類の奥まで浸透させる「抗菌ウルトラファインバブル洗浄W」、さらにヒーターで洗浄液を温めて酵素パワーを引き出す「温水抗菌ウルトラファインバブル洗浄W」を採用する。

東芝ライフスタイルの「ZABOON TW-127X9」
東芝ライフスタイルの「ZABOON TW-127X9」

 パナソニックは濃密泡によって繊維の奥にまで洗浄成分を浸透させる「泡洗浄W」や、温水専用ヒーターで洗剤液を直接温めて洗剤の酵素を活性化させて洗う「温水泡洗浄W」が売りだ。日立は強力循環ポンプによる循環シャワーで洗う「ナイアガラ洗浄」と、洗剤の酵素パワーを引き出す「温水ナイアガラ洗浄」を売りにしている。

 このように、全体的に泡や高圧などを用いて衣類に洗浄成分を浸透させるのと、さらにヒーターの加熱によって洗剤の酵素パワーを引き出すという組み合わせになっている。

 さらに枕カバーの黄ばみ、赤ちゃんの肌着、おしゃれ着洗い、毛布など、洗濯物の種類によって細かくコースが分かれている。ニオイの原因菌を落とすコースや、衣類を除菌するコースなどを用意するモデルもあり、選べるコースの幅がかなり広くなっている。

 シャープの場合はスマートフォンアプリで洗濯物の種類に合った専用コースをダウンロードして使えるなど、それぞれのこだわりに合わせたコース選びができるようになっている。

 縦型洗濯機に比べて利便性の高いドラム式洗濯乾燥機だが、こうした基本機能の部分にも着目したいところだ。

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