(写真:AP/アフロ)
(写真:AP/アフロ)

 クリスマスから年末にかけて社交の機会が増える中、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染者急増を受け、筆者の住む町も慌ただしくなってきた。町ではラテラルフローテスト検査キット(すぐに結果の出る自宅用コロナウイルス検査キット)を配るスタッフなどが急きょ現れるなど、行動制限措置強化に備える準備が始まっている。

 オミクロン型がデルタ型よりも格段に感染拡大のスピードが速く、英国で感染者が増えていることを受け、12月8日には行動制限措置の強化、いわゆるプランBの導入が発表された。これによりイングランドでは12月10日以降、マスク着用義務の対象が映画館や礼拝所などを含む大半の屋内公共施設に拡大された。また、13日以降は可能であれば、在宅勤務をすることが求められている。英国では夏以降、在宅勤務をオフィスワークに切り替えた者が多かったものの、今回のプランBにより振り出しに戻った感じだ。

 英国では、12月24日には1日当たりの感染者数が12万人を超え、予断を許さない状況が続いており、さらなる制限措置の導入を求める声も高まりつつある。ただジョンソン首相は、2年連続クリスマス休暇に家族が会えないことを危惧し、さらなる制限措置の導入は現時点(12月26日時点)では見送っている。その一方、再三、英国民に「慎重に行動」するように呼び掛けており、事実上、年末年始にかけての帰省や旅行を断念するように求めているのが実情である。

 筆者の旧知の英国人も軒並み旅行や帰省を断念しており、筆者自身も、年末はバルセロナで親戚一同が集まる恒例行事を、残念ながら2年連続キャンセルすることとなった。スペインの親戚曰く、EU内でもオミクロン型での感染者や自己隔離者の急増で、多くのフライトがキャンセルされ、車での移動自体も制限されるなど、混乱に拍車が掛かっているとのことである。

オミクロン型の発生により英国の街角では検査キットを配るケースが増えている
オミクロン型の発生により英国の街角では検査キットを配るケースが増えている
ラテラルフローテスト検査キット
ラテラルフローテスト検査キット

 ちなみに日本ではこのラテラルフローテストの存在はほとんど知られていない。筆者はこの半年、週2回このテストを利用している。なぜなら筆者のオフィスがあるビルへの入館条件が検査での陰性結果だからだ。ちなみに小学生の娘が友達の家に呼ばれる際には必ず検査をし、陰性を確認してから出かけるなど、子供でも日常的に利用している。

 また英国では病院やレストランなど、NHS(国民医療制度)のアプリに登録し、チェックインを求められるケースが多い。コロナウイルス検査で陽性となると、当該アプリによって自動的に訪れた場所に通知され、これら訪問場所の利用者にも連絡がいく。このため、英国では自宅で定期的にラテラルフローテストをして陰性結果を知らせることが、最低限のマナーとして求められている。定期的に検査をしていれば、たとえ無症状でも感染が分かる。実際に英国では新規感染者が毎日10万件超と出ているものの、この検査結果から判明しているものが多く、実際は8~9割が無症状感染者という事情がある。

 また簡易検査が浸透したおかげで、少しでも感染の疑いがある場合はすぐに検査・隔離ができるようになっている。特にワクチン接種していない10歳以下の子供の感染は、無症状のケースが多い。旧知の英国人もこれまで多くがコロナウイルスに感染したが、ほとんどが無症状か1日熱が出て終わるケースが多かった。感染者が増えるにつれ、差別や偏見というものがほとんどなくなっているのが今の英国の現状である。

 日本では、緊急事態宣言の発出時に他県のナンバープレートをつけた自動車に「コロナウイルスを持ち込むな」という紙が貼られたり、感染が判明すると差別されたりといった悲しい事件が報じられたことがあるが、英国ではまずありえない。

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