風力不足だけでなく不採算で停止に追い込まれている陸上風力発電ファーム

 また英国では、政府が積極的に“洋上”風力発電を促進する一方で、最も安価な発電方法とされる“陸上”風力発電ファームへの投資が欠如しており、今後も発電容量が伸び悩む可能性が指摘されている。冒頭でのショアハム港の陸上風力発電機は、住宅地から相応に離れた場所にある港湾施設の中に設置されているため、地域住民の反対どころか、クリーンなエネルギーとして歓迎されている。

 しかし、陸上風力発電ファームは、景観を損なうという周辺住民による反対や、建築許可の審査を行う自治体のリソース不足なども重なり、ここ数年は特に新規プロジェクトの建設が減っている。保守党の支持基盤である農村地域の自然・景観保護にうるさい英国民は、再エネに肯定的なスタンスを示しているものの、いざ実際に自宅近くに陸上風力発電ファームが建設されるとなると、景観を乱すとして反対する勢力、いわゆるNIMBY(Not In My Back Yard ”我が家の裏にはごめん”)にひょう変するという矛盾を抱えている(英国だけではないと思うが)。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り4548文字 / 全文6792文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。