42歳のスナク氏が英国の新首相に就任した(写真=REX/アフロ)
42歳のスナク氏が英国の新首相に就任した(写真=REX/アフロ)

 保守党党首選の立候補受付は10月24日午後2時に締め切られたが、それまでに100人の推薦議員を確保し立候補できたのはリシ・スナク元財務相のみとなり、同財務相が保守党党首に選出された。スナク元財務相は近代における最年少かつ、初めて白人以外として首相の座に就いた。

 23日夜、ジョンソン元首相が立候補断念した段階で、元財務相の党首選出はほぼ確実視されていた。モーダント下院院内総務は議員およそ90人の推薦を確保したものの、24日の締め切り直前に立候補断念を表明した。モーダント氏はその理由として保守党議員が確実性を必要としており、スナク元財務相のもと保守党が団結すべきと述べた。元財務相が唯一の立候補者となったため、28日までの保守党党員によるオンライン投票は不要となった。

 スナク新首相は42歳でブレアおよびキャメロン元首相の就任時よりも若い。元財務相のインド系祖父母は東アフリカから英国南部のサウサンプトンに移民した。ジョンソン元首相を支持した議員が最終的にスナク元財務相支持に回ったこともあり、保守党議員約200人からの圧倒的支持を受けての選出となるが、保守党党員の間で元財務相に対する意見は分かれている。

 党員の間では依然としてジョンソン元首相の人気が高く、7月に元財務相が辞職したことが、ジョンソン政権崩壊の決め手になったことを許せない人が多いという。またスナク元財務相には首相として挑まなければならない難題が山積している。公的財政は危機的状況にあり、インフレ率は高く、公的サービスは限界に近いところまで疲弊しており、労使闘争も激しくストライキも頻発し、エネルギー危機により今冬は停電の恐れすらある。

 元財務相は財政面では保守派であり、経済立て直しを誓い、政府のあらゆるレベルにおいて、誠意とプロフェッショナリズム、説明責任を持たせると述べている。ただ既に多くの英国民は生活費危機に陥っており、さらなる緊縮財政に耐えられるかは未知数である。

トラス首相の電撃辞任劇

 今回の党首選はトラス政権がたった数週間で崩壊した結果である。10月20日、トラス前首相は急きょ会見を開き、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)によって獲得した自由を活用し、低税率・高成長経済を実現するために選出されたが、既にそれが不可能になったとして辞意を表明した。ただ事実上は、与党保守党内からの圧力に屈し、辞任せざるを得なかったという表現が適切であろう。9月6日の就任からわずか44日目であり、英国史上最短の在任期間の首相という不名誉な記録となった。