しかし、ドイツ政府は、今冬の電力供給に関する「ストレステスト」を実施した結果、電力供給に危機的な状況が起きる可能性を排除できないとの結論に達した。このため、今年末に運転停止を予定していた最後の原子力プラントの3基のうち、2基を2023年4月まで稼働可能な状態で維持することを決めた。

 また、連立政権与党である緑の党の強い意向で、政府は石炭火力発電所を2030年までに段階的に廃止する方針を掲げている。しかし、発電用の天然ガス消費量の節約のため、石炭火力発電所の稼働を増やす緊急措置を取った。2021年に運転を停止し、リザーブ電源となっていた石炭火力発電所が、2023年4月末までの期限付きの運転許可を得て、商業運転が再開された。

 石炭火力発電所は、ガス発電に比べ2倍に相当する温暖化ガスを排出する。このように汚染度の高い石炭火力による発電量は2022年上半期に、前年同時期よりも大幅に増加し、全発電量の3分の1弱にまで及んでいる。ガス火力に比べ石炭火力の発電コストは低く、石炭火力発電所の市場復帰でガス火力の発電量が下がれば、天然ガスの消費量が抑えられる。

ロシア産石油への上限価格導入でG7が合意

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