スペインのFCバルセロナからフランスのパリ・サンジェルマンに移籍したサッカー界のスーパースター、リオネル・メッシ選手。契約金の一部が暗号資産で支払われた(写真:ロイター/アフロ)
スペインのFCバルセロナからフランスのパリ・サンジェルマンに移籍したサッカー界のスーパースター、リオネル・メッシ選手。契約金の一部が暗号資産で支払われた(写真:ロイター/アフロ)

 サッカー界のスーパースター、リオネル・メッシ選手は、地元アルゼンチンのクラブを経て、FCバルセロナのユースアカデミーに参加したことをきっかけに、華々しいキャリアを積んでいった。21年の在籍期間中に、チャンピオンズリーグ4回、ラ・リーガ(スペインのプロサッカーリーグ)10回の優勝に貢献し、世界年間最優秀選手賞(バロンドール)を6回受賞するなど、同クラブの顔中の顔であった。バルセロナで事業を営む筆者の親戚の家は、メッシ選手の自宅からほど近いところにある。高台にある広大な邸宅は、テレビ等でよく紹介されている有名なもので、彼の欧州での成功を物語っている。

 そんなメッシ選手に対して、バルセロナは8月初めクラブの財政難により契約更改は不可能になったと発表した。同選手は愛着の強いチームに残留するため、50%もの年俸ダウンを受け入れたが合意に至らず、クラブとの決別に涙した。大スターの移籍先は多くの臆測を呼んだが、8月10日には、フランスのパリ・サンジェルマン(PSG)と2年間の正式契約を交わしている。年俸は税引き後で3500万ユーロ(約45億円)とも報じられている。

 3年目の契約オプションのほか、特筆すべきは契約金の一部として相当額の「ファントークン(fan token)」が支払われたことである。ファントークンは、非代替性トークン(NFT)の一種で、暗号資産取引所を運営するSocios.comが発行し、主にイーサリアムをベースとしたブロックチェーン(分散型台帳)技術に基づくものである。ビットコインやその他暗号資産と同様に、デジタル資産と見なされ、取引所での取引が可能である。つまり契約金の一部が暗号資産で支払われたということになり、PSGは金額を明らかにしていないが、2500万ユーロ(約32億円)を超えるとの報道がある。

 ファントークンの価格の動きは、チームの成績に直接関係し、(投資という観点からも)保有や取引によって利益を生むことができる。またクラブの人気や成績による値上がり益が期待できるだけでなく、保有者には特典として、勝利後の応援歌や、練習用のジャージーデザインなど、クラブに関する決定事項の投票権などが提供される。

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