イングランド南東部は1976年以来、最長の乾燥した期間に

 そんな英国で今、大きな問題となっているのが、雨不足である。特にロンドンを含むイングランド南東部では、今年1月以来7月にかけて、144日間にわたり、ほとんどあるいは全く雨の降らない日が続き、英国気象庁によれば1976年以来、最長の乾燥した期間となる。7月に英国が観測史上初の40度を超えたとの報道は日本でも流れたが、熱波の到来以上に深刻なのは、干ばつが今もまだ続いていることだ。8月に入ってからもまとまった雨が降らず、水不足は深刻となっている。近く予想されている雨も、乾燥しきった土壌が水分を吸収するのが難しい短期的な集中豪雨のみという。

今年のイングランド南東部は水不足が深刻で、枯れた芝が目立つ
今年のイングランド南東部は水不足が深刻で、枯れた芝が目立つ

 ロンドンといえば雨や霧が多いというイメージが強いかもしれないが、現在はどこの芝生も枯れ果てており、こんな風景を見るのは筆者も初めてである。あの青い芝生が一年中楽しめたのは、頻繁に降る雨のおかげだったのだと実感している。河川の水位も低くなっており、衛星写真でも、イングランド中央・南部は、緑が少なくなり、砂漠のような茶色い地帯が広がっている。このカラカラ天気は今後も続くとみられており、芝を愛する英国のガーデナー達は悲鳴を上げている。

 さらに英国は、水不足だけでなくエネルギー不足にも直面する可能性が高いといわれている。雨が降らない原因として、昨年と同様に大西洋上での低気圧の発生が少ないことが挙げられる。ただそこで問題となるのが、雨よりも風が吹かない状況が続いていることである。英国は風力発電などの再生可能エネルギーへの急速なシフトにより、2019年には化石燃料の発電量を再生エネルギーによる発電量が上回っていた。ただ昨年は秋にかけて風が吹かず、欧州の中でも特に英国が深刻なエネルギー不足に陥ったことは記憶に新しい。無論、今年も同じ状況が起きつつあることは言うまでもない。

EUよりも英国が深刻なエネルギー不足に陥る可能性

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この記事はシリーズ「菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。