フォーミュラ・ワン(F1)の英国GPの決勝には、14万人が観戦に押し寄せた(写真:ロイター/アフロ)
フォーミュラ・ワン(F1)の英国GPの決勝には、14万人が観戦に押し寄せた(写真:ロイター/アフロ)

 英国ではついに7月19日、コロナウイルスの感染拡大抑制のための行動制限措置が撤廃された。英国政府はワクチン接種プログラムの成功や、措置撤廃に慎重だった前保健相が不祥事で辞任したのを機に、措置を解除し経済活動の再開を急ぐ「コロナとの共生」に向け大きく舵を切っている。

 4月後半からは大規模観客を伴うスポーツやカンファレンス、コンサートの再開に向け、イベント研究プログラム(ERP)と呼ばれるパイロットイベントを開始している。ERPでは大規模イベントの安全な再開のために、社会的距離政策やマスク着用なしなど様々な条件で実施したパイロットイベントでデータを収集し、大規模感染拡大を招くことがないか見極めることが主目的となる。

 日本でも(制限措置解除前に開催された)ウエンブリースタジアムでのサッカー欧州選手権(ユーロ2020)準決勝、決勝やテニスのウィンブルドン選手権の決勝で、マスクなしの観客が社会的距離をあけず大興奮しながら観戦している光景が繰り返し報道されていたが、これらもERPの一環である。

決勝当日はソーシャルディスタンスなし、マスクなしの14万人の観客でスタンドほぼ埋め尽くされた
決勝当日はソーシャルディスタンスなし、マスクなしの14万人の観客でスタンドほぼ埋め尽くされた

 7月16日からシルバーストーンで開催されたフォーミュラ・ワン(F1)の英国グランプリ(GP)は3日間で延べ35万人、決勝当日は14万人を集めたが、ERPの最大のイベントということでも注目された。厳格なコロナウイルス感染対策手順に従って実施されたというが、同イベントの成否によって、来シーズンの(サッカー)英プレミアリーグなど様々な大規模イベントが、最大収容人数で開催可能になるかどうかが決まるという。

 筆者も、日本で開催する国際カンファレンスの事務局なども担当しているため、現場調査と社会貢献の一環として、このERPに参加を申し込み、開催期間中シルバーストーンサーキットに連日足を向けた。会場にいる何万人の観客が全てマスクなし、社会的距離なしという久しぶりに見た光景は極めて新鮮であった。

続きを読む 2/3 検査体制の不備が多いと批判されていたERP

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2971文字 / 全文4478文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。