ビットコイン取引のデータ処理作業には大量の電力が必要になる(写真:ロイター/アフロ)

 約12年前にサトシ・ナカモトと名乗る人物が発表した論文により運用が開始された暗号資産(仮想通貨)のビットコインは、各国の金融・財政政策から独立している点や、匿名性が担保されることを好む人々に歓迎されてきた。ただビットコインの価格は2021年4月3日に6万3000ドル(約690万円)を超え過去最高値を記録したものの、その後に3万ドル近くまで急落している。その一因は、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の1本のツイートである。

 マスクCEOはビットコインの熱烈な信奉者で2021年2月にはテスラ車購入にあたりビットコインの利用も認めるという計画を発表していたほか、テスラは一時期15億ドル(約1650億円)相当ものビットコインを保有していた。しかし、5月中旬に環境への負荷が大きいとして、ビットコインを使ったテスラ車の購入手続きの一時停止をTwitterで表明したことが、ビットコイン価格の急落を呼んだ。

 これまで気候変動問題に関して各国の環境運動家はビットコインのマイニングに膨大な電力が消費されていることに懸念を抱き、発電によって排出される温暖化ガスの削減に向け、規制強化を政府に求めてきたものの、大きな成果は得られていない。暗号資産関係者の温暖化ガス排出量に対する意識向上において、気候変動問題の環境運動家よりもマスクCEOのツイートが大きな影響を与えたことになる。

 ビットコインのエネルギー集約度を計測している気候変動の有識者によれば、マスクCEOの判断は当然という。ビットコインによる排出量を正確に測定することは極めて難しく、確立された方法はまだ存在しない。最も妥当とされている英ケンブリッジ大学のビットコイン電力消費指数によれば、ビットコインのマイニングによる年間消費電力は過去5年で確実に拡大し、約150TWh(テラワットアワー)に到達していると考えられる。2020年におけるスウェーデンの年間消費電力を上回る数値である。

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