英国のジョンソン首相(右)が新型コロナウイルス用ワクチンの接種会場を視察。英国では3回目の接種が進んでいる(写真:ロイター/アフロ)
英国のジョンソン首相(右)が新型コロナウイルス用ワクチンの接種会場を視察。英国では3回目の接種が進んでいる(写真:ロイター/アフロ)

 最近、筆者のまわりで増えてきたのが新型コロナウイルスへの罹患(りかん)回数の自慢である。「私も2回罹患した」、「俺はもう3回」といった具合だ。ワクチン接種をしていれば重症化のリスクは下がるが、感染を完全に防ぐことはできず、複数回感染が珍しくなくなっている。

 特に変異型「デルタ型」に比べ軽症、あるいは無症状で終わるケースが少なくない「オミクロン型」が市中にまん延してからは、もはやただの風邪といった錯覚に陥りそうな、日本では考えられない状況にある。筆者は毎週検査をしているが、不思議といまだに一度も感染しておらず、「まだ罹患していない」と言うと、一様に驚かれたりもする。

 英国では1月13日時点で1日当たりの感染者は10.9万人、死者数335人、入院患者数総計は1.9万人と上昇してきているが、ピークは既に過ぎているとの見方がある。英国は無料配布されるラテラルフロー検査(すぐに結果の出る自宅用の新型コロナウイルス検査キット)があるがゆえに、症状の有無にかかわらず感染したか否かが容易に分かる。

 同検査を利用した場合には所定の公式サイトで結果を報告することが求められている。しかし英国下院の会計委員会によれば、実際に報告されたのは14%にすぎないと推定している。特に無症状であれば陽性であっても、申告しないケースがかなり多いとみられ、実際の感染者数は公表数値の数倍ともいわれている。

 これだけ罹患率が高い理由は、英国が2021年夏に世界の先陣を切って、新型コロナウイルスとの共生にかじを切った数少ない国であることが挙げられる。比較的高い感染率を許容する代わりに、行動制限措置を撤廃した際には内外で物議を醸した。最近になって、このようなアプローチを採用する国が増えており、その筆頭が米国である。バイデン米大統領は冬にかけて、新型コロナとの共生という新常態を受け入れるよう、国民に促している。

 無症状感染も多く、大規模な検査が行われている米国や英国などでは、もはや感染者数には大きな意味はなく、重視されるのは入院患者数や死亡者数である。ワクチン接種を受けた濃厚接触者の隔離は不要であり、感染者も(症状がなくなればとの条件で)隔離期間は5日間に短縮されている。ただ、これでも英国では人手不足が常態化しており、コーヒーショップや小売店などの通常店舗では、はなから通常サービスは諦めてほしいとの張り紙などが至る所で見られる。

人手不足のため通常よりサービスに時間がかかることを告知するコーヒーショップの張り紙
人手不足のため通常よりサービスに時間がかかることを告知するコーヒーショップの張り紙
(出所)大和総研撮影
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 一方、日本では、濃厚接触者の隔離が(短縮されたとはいえ)10日間と、米英とは大きく異なる。

 ただ、いくら隔離期間を長く設定しても、オミクロン型の感染力は非常に強く、日本でも1日の新規感染者数が10万人を超える可能性もあるだろう。特に現行ペースで感染拡大が続けば、深刻な人手不足に陥ることは確実である。1月18日に新規感染者数が48万人超と欧州最高記録を更新したフランスでは、医療施設での人手不足から、新型ウイルスに感染したスタッフも自主隔離せず、治療活動を継続できるドラスチックな措置を導入している。

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