動員逃れで全労働人口の約1.5%が減少も

 ただ、中長期的にみればロシア経済の下振れリスクは大きいといわざるを得ないだろう。2022年第3四半期のGDPは3.7%減と、第2四半期(4.1%減)に続く低下幅を示し、既に景気後退に陥っていることは明らかである。インフレによって消費者の購買力も損なわれているため、個人消費も弱く小売売上高はやや持ち直しているとはいえ、11月には前年比7.9%減を記録した。

 プーチン大統領は侵攻開始以降、年金支給額、最低賃金の10%の引き上げや、8~16歳の子供に対する新たな給付金、企業融資や住宅ローン返済猶予の延長などを拡充するなど、なりふり構わぬばらまき政策を加速している。大統領選挙を2024年3月に控え、今後もばらまきが拡大する可能性は高く、財政の悪化は免れないといえよう。

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