新型コロナは世界経済を大混乱させ、人々の行動様式や価値観を大きく変えた。その変化の最たるものが、人と人との間を分かつ物理的・心理的な「ディスタンス(距離)」の出現だ。
人間は他者との関わりの中で精神のバランスを保つ“社会的動物”であるといわれる。実際、ソーシャルディスタンスの確保に伴う外出自粛やコミュニケーションの希薄化などを一因として、精神に不調を来したり、「生きにくさ」を募らせたりする人が各国で増加を続けている。
だが21年は、より深刻な「他者との関わりの分断」が顕在化する1年になる可能性がある。それが「男女の分断」だ。

今、婚活サービスへの入会が増える理由
「コロナ禍の影響で、異性と直接会うことに慎重になる人が増えている」。婚活支援サービスを手掛けるタメニーの下舘礼佳氏はこう話す。
同社では会員の要望や嗜好に合わせてお見合いの相手をマッチングするが、本当に自分に合った相手か確認するには、実際に会う必要がある。が、「感染リスクへの不安もあり、会う人を厳選する会員が増えた」(下舘氏)。
一方で、同社の入会者数自体は10月、11月と2カ月連続で前年同月を超えた。実際に会えない分、スタイリストが服選びを手伝い、写真を撮影して印象を良くする新サービスも6月に始めた。「予想を超え、利用者の半数近くを男性が占める」という。婚活サービスへの登録者の急増はそれだけ、一般社会での男女の出会いが急減している証しではないかと同社はみる。
分断は、既存カップルの間でも顕著になりつつある。人口動態統計速報によると20年5~9月の婚姻件数はいずれも前年割れ。9月は前年同月比で3割以上も減少している。先行き不安などの閉塞感が横たわる。
一方で、外出自粛や在宅勤務で男女が接触する時間が長くなった結果、DV(家庭内暴力)のリスクが増大している。内閣府によると、地方自治体などの窓口に寄せられたDVの相談件数は4月から前年同月超えを続けており、10月は前年より5割多い、1万7453件(暫定値)に達した。
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