
2020年世界に大きな打撃を与えたコロナ禍の打開に向け、光明が見えつつある。英国は世界に先駆け市民へのワクチン投与を開始。日本も接種体制整備に動き始めた。21年、日本と世界は果たしてコロナ禍という悪夢にピリオドを打てるだろうか。
米ファイザーとドイツ・ビオンテックが共同で開発しているワクチンと、米モデルナのワクチンが、米国と欧州で実用化にあと一歩のところまで到達した。両グループはそれぞれ、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を、欧州連合(EU)の欧州医薬品庁にも条件付き承認を申請。ファイザーのワクチンは一足先に英国で緊急使用許可を得て、12月8日から接種が始まった。FDAも11日、ファイザーのワクチンに緊急使用許可を発行した。
いずれも正式な薬事承認とは異なる緊急の措置ながら、21年を前に何とか実用化にこぎ着けそうだ。
両グループのワクチンは、どちらもメッセンジャーRNA(mRNA)という、これまでに実用化された例のない物質を用いている。それだけに安全性に対してより慎重を期すように求める声は多いが、それぞれ数万人規模の臨床試験を実施し、90%を超える高い有効性を示す一方、安全性に大きな問題はなかったことを発表している。
6月までに国民の6割への接種も可能か
日本では、共にまだ申請されていないが、日本政府は米ファイザーから21年6月までに6000万人分、米モデルナのワクチンについては上半期に2000万人分、第3四半期に500万人分の供給を受ける契約を結んでいる。ファイザーのワクチンはマイナス70度、モデルナのワクチンはマイナス20度の低温での保管が必要だが、厚生労働省はそれぞれ3000台と7500台の冷凍庫の確保にも動いている。
接種順位についても議論を進めており、医療従事者、高齢者、基礎疾患を有する人を優先して接種を進めていく方針だ。接種の実施主体は市町村となるが、国は対象者にどのように通知し、どこで接種を行うかなどの例を示しながら、準備を進めるよう通達も出している。
こうした状況から考えると、順調にいけば21年6月末までには8000万人の日本国民が予防接種を受けられる可能性がある。
新型コロナウイルスの場合、人口の6割が免疫を持つと集団免疫が働いて、感染を抑え込めるといわれている。
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