不正会計の発覚がきっかけとなった経営危機を乗り越えて、復活に向けて歩き出した東芝。2018年4月に東芝に招へいされた車谷暢昭社長兼CEO(最高経営責任者)はデータを生かしたビジネスの拡大を目指し、「製造業型のデータカンパニー」を掲げ、「モノもサービスもデータも全部やる」と語る(「不正会計なくても負けパターンにはまっていた」 東芝・車谷社長)。その姿にどうやってたどり着こうとしているのか。

東芝は太陽光発電など再生可能エネルギーを注力領域の1つに掲げてサービス化を急ぐ
東芝は太陽光発電など再生可能エネルギーを注力領域の1つに掲げてサービス化を急ぐ

 東芝の事業子会社、東芝エネルギーシステムズのグリッド・アグリゲーション事業部で再生可能エネルギー領域の営業統括部⻑を務める新貝英己氏は現在、日本各地にある太陽光や風力といった発電事業者を頻繁に訪れている。

 東芝が得意とする発電設備を売り込んでいるわけではない。ある新事業について説明するためだ。

 新事業の名は「仮想発電所(VPP)」。日本全国に点在する複数の再生可能エネルギーの発電事業者から電力をまとめて買い取って卸売りする事業だ。東芝は22年に「アグリゲーター(事業者)」として参入する予定。新貝氏は、再エネ発電事業者にこのVPPへの参画を促している。

 再エネは天候や気温などによって発電量が変動するため、発電量の予測や電力の制御技術が欠かせない。そこで東芝は先行する海外企業と提携に踏み切った。11月にドイツのVPP大手、ネクストクラフトベルケとの間で新会社を設立。欧州で約1万の発電設備との接続実績がある同社の技術やノウハウを国内事業に生かしていく。新会社の社長を兼務する新貝氏は「最終的に再エネ発電量の約1割を取り扱いたい」と意気込む。

 東芝はこれまでも再エネ事業を数多く手掛けてきた。太陽光や水力の発電設備を提供するほか、地熱発電用タービンの世界シェアはトップレベル。次世代の太陽電池や水素エネルギー、二酸化炭素の回収技術など最先端技術への開発投資も進めている。11月に公表した新たな中期計画でも再エネを注力領域の1つに掲げている。

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