2009年以降の経営改革で総合電機の看板を下ろした日立製作所。大がかりな事業の入れ替えは終盤に差し掛かり、安定して利益が出る体質になってきた。では、これからの成長の芽をどこに見いだすのか。東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)は「社会イノベーション事業のグローバルリーダー」を標榜する(「もう一度赤字が出れば潰れると思った」 日立・東原社長)。どうやってそこに行こうとしているのか。

日立製作所はオークマの工場に入り込み、共同で生産性向上に取り組む
日立製作所はオークマの工場に入り込み、共同で生産性向上に取り組む

 2006年に社長に就任した古川一夫氏の時代に日立が打ち出した言葉である「社会イノベーション事業」。リーマン・ショック後の09年3月期に巨額の赤字に陥った後、日立は総合電機に代わる方向性として社内外に明示するようになった。

 工場や鉄道、エネルギーシステムなど、人の生活を支える社会インフラを手掛ける顧客企業に対して、「ご用聞き」としてインフラをより良くするための解決策を提示し、それを実際に組み上げる。日立が得意にしてきたモノを売ることにはこだわらず、顧客や社会に提供できる価値で勝負するという考えだ。

 かつては顧客の要望に応えられる技術力や品質を鍛えていれば、電力や鉄道、通信などの巨大企業から継続的に受注を得られていた。ところが、民営化や規制改革で1990年代からインフラ企業のコスト意識が強くなり、インフラ企業にモノやシステムを提供する企業の顔ぶれも国際化した。モノだけの供給では差異化が難しく、利益も得にくくなってきた。だから日立は「顧客や社会の役に立つ」という価値を起点にしたわけだ。

 その社会イノベーション事業で世界のリーダーになろうというのが日立の成長戦略だ。少子高齢化が進む日本のインフラ頼みでは先細りになる。世界各国の社会インフラを支える企業になるため、約10年をかけて事業の大がかりな入れ替えを進めてきた。調整後営業利益率が8%程度まで向上するなど「実力はついてきた」(東原敏昭社長兼CEO)が、「グローバルリーダー」を目指すために十分でないものが2つある。

 それが、解決策を素早く提案・構築するための仕組みづくりと、企業体質のグローバル化だ。そのためには人の能力や考え方を変えていかなくてはならない。事業を入れ替えるというこれまでの改革以上に大きな挑戦になりそうだ。

「日立はここまでできるのか」

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