(写真:PIXTA)

 『ファクトフルネス』というベストセラー本がある。短時間プレゼンテーション動画「TEDトーク」で人気を博した、スウェーデンの医師で公衆衛生学者でもあるハンス・ロスリング氏らによる本だ。内容は「世にいわれていることと実態はかなり違うので、統計的な事実を確認した方がいい」という話だ。至極当たり前な指摘なのだが、世の中はファクトフルネスでないことであふれている。メディアやSNSを通じて発信される情報にも「フェイクニュース」が数多く存在する。今回はコロナ禍で「常識」といわれていることを検証し、事実から不動産価格の行方を探ろう。

コロナ離婚のウソ

 今当たり前のように使われている言葉に「コロナ離婚」がある。コロナ禍での自宅待機で夫婦仲が悪くなるという話だ。初めて耳にしたのは武漢での都市封鎖後のニュースで、自宅で一緒にいる時間が増えた夫婦間で家庭内暴力が発生しているというものだった。一定の距離を置いて生活していた夫婦が時空間を共有しすぎると、それまでとの違いにギクシャクはしそうだ。煙たがったり、口論になったり、目につくことが不満のタネになりがちかもしれない。日本でも緊急事態宣言が出て以降、家庭での自粛が5月下旬まで約2カ月にわたって続いた。この際にもめた家庭もあるだろう。

 ファクトフルネスからすると、まずは事実を調べることになる。すると、離婚件数は前年同期比(4~7月)で13%減っていた。離婚件数が減る理由は夫婦関係以外にもある。もしかすると、仲が悪くなったものの、仕事・職場・年収の先行き不安が離婚をとどめさせているのかもしれない。そこでリーマン・ショック後の景気後退期を調べてみたが、「先行き不安で離婚が減る」という傾向は見られない。2019年の離婚件数は20万8496組に及び、コロナ後のすべての月で前年同月比は下回っているのだから、コロナ禍で離婚件数は明らかに減る方向に動いている。

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この記事はシリーズ「コロナ収束後を見通した逆張りご自宅戦略」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。