新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している英国。ジョンソン首相は会見で「急拡大は変異したウイルスによって起きているとみられる」と述べた。英国のグループが検証などを行っている段階だが、ウイルスは一般的に変異を繰り返す性質を持ち、新型コロナウイルスではこれまでに数千種類の変異種が確認されているとの話もある。今回確認された変異種について、関係者の発言などをもとに、今分かっている10のことをまとめた。

(写真:Shutterstock)
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1:これまでの新型コロナウイルスとは何が違う?
2:症状は重くなった?
3:英国の状況は?
4:英国の対応は?
5:英国以外の状況は?
6:各国の対応は?
7:日本で同様の変異ウイルスは確認されている?
8:日本経済への影響は?
9:日本の対応は?
10:開発が進んでいるワクチンへの影響は?

1:これまでの新型コロナウイルスとは何が違う?

 英国のボリス・ジョンソン首相は12月19日の会見で、諮問グループの分析として「R値(実行再生産数)を0.4ポイント以上引き上げる可能性がある」とし、「かなり不確実性はあるが、従来よりも最大70%感染しやすいようだ」と説明している。

 世界保健機関(WHO)で緊急事態対応部門を統括しているマイケル・ライアン氏は14日の会見で「イングランドの約1000人の患者から検出されたウイルスに変異が確認されたとの報告を受けている」と言及。このような変異はよくあるとし「変異の重要度が検証されている」と述べた。

2:症状は重くなった?

 ジョンソン英首相は12月19日の会見で「まだ多くの不明点がある」とした上で、「より致命的なものか、より重篤な病気を引き起こすかということを示唆する証拠はない」と述べている。

3:英国の状況は?

 12月20日に報告された英国内の新型コロナウイルスの新規感染者は3万5928人で1日あたりの最多を更新。死者は20日に326人増えた。

4:英国の対応は?

 イングランドではこれまで3段階の警戒レベル(ティア)を導入していたが、ジョンソン英首相は19日にさらに高い警戒レベルとして「ティア4(自宅待機)」を新たに設定。ロンドンやイングランド南東部の州などを「ティア4」とし、通勤通学以外の移動や他世帯の人と屋内で会うことなどを原則禁じた。

5:英国以外の状況は?

 変異種はイタリアやオランダでも確認されている。また1日1万人近くの新規感染者がでている南アフリカでも政府が12月18日に変異種の検出を発表。英国で確認されている変異種と同じものかどうかはまだ明らかになっていない。

6:各国の対応は?

 英国に近接する欧州各国は厳戒態勢を取る。12月20日に欧州連合(EU)のミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長、メルケル独首相、マクロン仏大統領が電話で対応を協議。欧州各国が英国から航空便の受け入れを停止したほか、フランスやベルギーは船や陸路での入国も禁止した。

7:日本で同様の変異ウイルスは確認されている?

 加藤勝信官房長官は12月21日の記者会見で「国立感染症研究所によると、わが国で同様の変異したウイルスは確認されていない」と説明した。

8:日本経済への影響は?

 まだ見えないが、株式市場はネガティブに反応した。12月21日の日経平均株価は続落し、前週末比48円97銭安の2万6714円42銭で取引を終了。下げ幅は一時220円を超えた。英国での変異種による感染拡大などが影響したとみられる。

9:日本の対応は?

 加藤勝信官房長官は12月21日の記者会見で「変異したウイルスが重症化しやすいかどうか、症例数の増加が変異したウイルスによるものかなどについては現時点で不明であり、厚労省において英国政府やWHOとも緊密な情報交換を行っている」と説明した。

 英国からの渡航については「わが国は英国を上陸拒否対象国に指定している。特段の事情がない限り新規入国は原則禁止しており、英国からの入国については感染状況を見つつ慎重に対応していく所存」と述べた。

 一方、ロンドンへの直行便を運航している全日空と日本航空は日経ビジネスの取材に対し、いずれも現時点で「対応は未定」と回答している。

10:開発が進んでいるワクチンへの影響は?

 ジョンソン英首相は12月19日の会見で「ワクチンが新たな変異種に対して効果が低いことを示唆する証拠はない」との認識を示している。英国ではすでに35万人がワクチンの1回目の接種を受けている。

この記事はシリーズ「10 Questions」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。