自民、公明両党が12月10日に決定した2021年度の与党税制改正大綱。新型コロナウイルスの流行が続き経済の停滞が懸念される中、住宅の購入などに利用できる住宅ローン控除についても手が加えられた。どのような変更点があるのか、そもそも住宅ローン控除とはどのような制度なのか、知っておきたい10のことをまとめた。

(写真:PIXTA)

1:そもそも住宅ローン控除ってどんな制度?
2:控除される期間は?
3:対象となる住宅は?
4:今回の税制改正大綱で何が変わる?
5:今回の決定の理由は?
6:住宅ローン控除を受ける要件は?
7:別荘などセカンドハウスの取得でも利用できる?
8:手続き方法は?
9:指摘されている問題点は?
10:ローン残高の1%を控除という仕組みが変わる可能性はあるのか?

1:そもそも住宅ローン控除ってどんな制度?

 正式名称は「住宅借入金等特別控除」。「住宅ローン減税」と呼ばれることもある。個人が住宅ローンなどを利用して住宅を新築、購入したり、増改築したりした場合に一定の要件に当てはまれば、年末のローン残高の1%(最大40万円)を所得税などから控除することができる。

2:控除される期間は?

 もともとの期間は10年間。19年10月の消費税増税対策として20年末までに入居した人の控除期間を13年間とし、さらに新型コロナウイルスの影響で入居が遅れた場合に限って21年末までの入居者も13年間としていた。12月10日に決定した21年度の与党税制改正大綱ではこの特例を、要件を満たした22年末までの入居者にも対象を広げた。

3:住宅の対象は?

 新築住宅だけでなく中古住宅も対象。ただし、耐火建築物で築25年、非耐火建築物で築20年を過ぎている場合は耐震性の証明が必要となる。増築や一定規模以上の修繕や模様替え、省エネ化、バリアフリー化なども工事費が100万円以上の場合は対象となる。

4:今回の税制改正大綱で何が変わる?

 20年10月~21年9月までに契約した新築と、20年12月~21年11月に契約したそれ以外の住宅の場合、控除期間13年間の特例が、22年末の入居者まで延長になる。また、経済対策として合計所得金額が1000万円以下の人については対象物件の面積の要件を一戸建て・マンションとも床面積50平方メートル以上から40平方メートル以上に拡大する。

5:今回の決定の理由は?

 税制改正大綱では「新型コロナウイルスの影響による先行きの不透明さなどを背景に、消費者においても住宅取得環境が厳しさを増している。内需の柱となる住宅投資を幅広い購買層に対して喚起するため」としている。

6:住宅ローン控除を受ける要件は?

 主な要件には以下がある。

  • 住宅の引き渡しもしくは工事完了から6カ月以内に減税を受けようとする人が居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  • 床面積が50平方メートル以上であること(前述のように合計所得額が1000万円以下の人については40平方メートル以上が対象)
  • 借入金の償還期間が10年以上であること。
  • 合計所得金額が3000万円以下であること。

7:別荘などセカンドハウスの取得でも利用できる?

 できない。減税を受けようとする人の居住の実態は住民票により確認される。

8:手続き方法は?

 確定申告時に、特別控除額の計算明細書のほか、ローンの残高証明書や住民票の写し、源泉徴収票など必要書類を提出し申請する。

 2年目以降は給与所得者の場合、ローンの残高証明書を勤務先に提出することで、年末調整で控除を受けることができる。

9:指摘されている問題点は?

 19年11月の決算検査報告で会計検査院は住宅ローン控除をめぐって「控除率である1%を下回る借入金利で住宅ローンを借りている者の割合が78.1%となっている」と指摘していた。借入金利が1%を下回る場合、控除額が住宅ローンの支払利息額を上回ることもあるため「住宅ローンを組む必要がないのに住宅ローンを組む動機付けになったり、住宅ローン控除特例の適用期間が終了するまで住宅ローンの繰り上げ返済をしない動機付けになったりすることがある」からだ。そのうえで、「国民の納得できる必要最小限のものとなっているかなどの検証を行うことが望まれる」と言及していた。

10:ローン残高の1%を控除という仕組みが変わる可能性はあるのか?

 可能性は小さくない。財務省は控除額の仕組みの見直しを求めていたが、今回の税制改正では「1%を上限に支払利息額を考慮して控除するなど、控除額や控除率の在り方を令和4年度(2022年度)税制改正において見直すものとする」とし、議論を持ち越した。つまり、年間の支払利息額が年末ローン残高の1%より小さい場合、控除額を1%未満にするという変更がなされる可能性がある。低金利時代が続く中、現在、メガバンクで住宅ローンを新規契約した場合の金利は変動・3~10年固定では軒並み年1%を切っている。上記の制度改革が実行された場合、こうした契約でローンを組んでいる消費者の控除額は減少し、実質的な負担が増えることになる。

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