東芝は11月12日、社会インフラや半導体などの事業を3つの会社に再編し、会社を分割する方針を発表した。米ゼネラル・エレクトリック(GE)も会社3分割を発表。会社分割とは何か、どういったメリットがあるのかなど10項目を解説する。

(写真:つのだよしお/アフロ)
(写真:つのだよしお/アフロ)

1:会社分割とは?
2:東芝はどう会社を分割する?
3:GEは会社をどう分割する?
4:会社分割にはどんなメリットがある?
5:コングロマリット・ディスカウントとは?
6:会社分割のデメリットは?
7:スピンオフの税制上のメリットとは?
8:株主はどうなる?
9:社員はどうなる?
10:過去にスピンオフをした例は?

1:会社分割とは?

 複数の事業を持つ会社が特定の事業の一部や全部を他の会社に承継させること。大きく分けて、すでに設立している会社に事業を移す「吸収分割」と、新しく会社を設立して事業を引き継ぐ「新設分割」がある。

 東芝のケースは新設分割にあたり、子会社や特定の事業部門を独立した会社にする「スピンオフ」と呼ばれる手法を使う。企業のM&Aに詳しいM&A総合研究所の栗原章充氏は「中小企業の事業承継においても会社分割が使われるケースが増えている」と説明する。

2:東芝はどう会社を分割する?

 東芝は、発電や送変電、公共インフラ、ビル省エネソリューション、ITソリューションなどを事業とする「インフラサービスカンパニー」と、ハードディスク駆動装置(HDD)、半導体製造装置を事業とする「デバイスカンパニー」に事業を振り分け、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスの株式などを管理する存続会社が「東芝」の名を受け継ぐ。それぞれ2024年3月期をめどに上場させる方針。

3:GEは会社をどう分割する?

 GEは23年初めに医療機器部門を分割。24年初めには火力発電と再生可能エネルギー、デジタル部門を合わせて電力事業会社として分社化する。本体には航空機エンジン事業を残す。

 米日用品・製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も21年11月12日、日用品や市販薬を含む「消費者向け部門」と、処方薬や医療機器などの「医療向け部門」の2事業に分割すると発表した。

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)

4:会社分割にはどんなメリットがある?

 スピンオフによって元の会社の経営者は中核企業に専念することが可能になったり、各事業のみに関心のある投資家を引き付けることが可能になる効果などが見込まれる。また、コングロマリット・ディスカウントの解消につながるとの考えもある。

5:コングロマリット・ディスカウントとは? 

 多くの産業を持つ複合企業(コングロマリット)の企業価値が、各事業の企業価値の合計よりも小さい状態。多角化は業績変動を減らすなどの利点がある一方、事業の全体像や相乗効果が見えにくい場合は市場評価を下げやすい。