中国の不動産開発大手「中国恒大」が経営難に陥っている。30兆円を超えるともいわれる巨額の負債を抱えるため、今後の実体経済や金融市場への影響が注目されている。関連して知っておきたい10項目をまとめた。

1:中国恒大集団とはそもそもどんな会社?
2:どうして経営危機に陥ったのか?
3:直接的には誰が損をしそうなのか?
4:中国のほかの不動産開発会社は大丈夫なのか?
5:日本企業への影響は?
6:リーマン・ショックのような金融危機は起きる?
7:中国政府は救済しないの?
8:金融市場や実体経済に与える影響は?
9:日本の不動産市場にも影響する?
10:中国でも日本のバブル崩壊のようなことが起きる?
1:中国恒大集団とはそもそもどんな会社?
広東省深圳市に本社を置く不動産開発大手。英語名は「チャイナ・エバーグランデ・グループ」で、香港証券取引所に上場している。2020年12月期の売上高は5072億元(約8兆6000億円、1元=17円換算)で、従業員は約20万人にのぼる。保有している土地は「東京23区のおよそ3分の1の規模」(SMBC日興証券のシニア中国ストラテジスト、ヨー・ジェレミー氏)という。最近ではプロサッカークラブ「広州FC」の運営や電気自動車の開発にも乗り出していた。
(日経ビジネスの参考記事:「世界揺るがす中国恒大、2度の『文革』が翻弄する創業者の半生」)
2:どうして経営危機に陥ったのか?
詳しい理由は分かっていないが、同社の資金繰りが悪化している背景には、中国当局による不動産関連事業者への過剰債務の圧縮要求がある。こうした圧力を受けて中国恒大は値引きによるマンション販売を加速するなど、資産の現金化を通じて負債の圧縮に動いてきた。その過程で資金繰りが悪化したとみられる。今年に入り、「一部の金融機関が資金の借り換え(リファイナンス)に応じない」との報道が出るほどだった。
3:直接的には誰が損をしそうなのか?
すでに同社の株価は年初から8割ほど下落しているほか、社債の価格も大きく下落している。株式や社債を保有していた投資家の多くは損をしたといえるだろう。資金調達の一環で販売していた金融商品の一種「理財商品」を購入していた投資家も、償還されないリスクを抱える。中国恒大からマンションを購入して引き渡し待ちの消費者も、再建の行方によっては不利益を被りかねない。
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