8:プラスチックメーカーはどう受け止めている?

 多くのメーカーが環境負荷低減への取り組みは避けがたい課題だと捉えている半面、「プラスチック=悪」という一方的な決めつけには疑問の声も出ている。あるレジ袋メーカーは「レジ袋は利便性もリサイクル性能も高い。大量消費は見直すべきだが、リサイクルの徹底や、生分解性の向上が全体としては環境保護につながる」との考えを示す。

 化学大手、三菱ケミカルホールディングスのジョンマーク・ギルソン社長は低炭素社会に即した事業展開を進めるとしつつ「身の回りのあらゆるものがプラスチック製品。使い捨ては良くないが、全ての製品に脱炭素化を求めるのはやりすぎだ」とも話している。

9:新しいビジネスチャンスにつながる?

 可能性は十分にある。微生物によって最終的にCO2と水に分解される性質を持つカネカの生分解性ポリマーは、ファミリーマートのスプーン、伊藤園の紙パック飲料向け伸縮ストローなど採用製品が増えている。ニチバンの「セロテープ」も植物由来である点が評価され、プラスチック製のテープからセロテープに切り替える動きが広がっているという。

 プラスチックの代替品にも注目が集まる。例えば、寒天を使った梱包資材。海に流れても海洋生物を害さないなどの特徴があるとされる。このほか、英語で「麦わら」を意味するstraw(ストロー)にちなみ、麦わら製のストローも商品展開されている。

 紙ストローには「ふにゃふにゃになる」「飲み物の味が落ちる」といった声も聞かれる。「環境に優しい」という話題性だけでなく、製品としての使いやすさも担保していけるかどうかが商機をつかむカギとなるだろう。また、「環境対応製品でないと欧州など先進的な市場ではそもそも受け入れられない」(国内化学大手)側面も出てきている。

10:廃プラ削減に向けた今後の課題は?

 プラスチックは身の回りの多くの製品に使われており、脱プラスチックを目指すのは非現実的だ。環境対応が進む自動車でも、バンパーやエンジン周りの部材をはじめ、軽量化や性能向上などに貢献している。あくまでもプラスチック製品を使い捨てにしないことが重要で、産業界にも消費者にもできることは少なくない。

 プラスチック資源を循環させるためのサプライチェーン構築が不可欠だが、前提となるのは製品の設計から出荷、消費、回収といった一連のサイクルがきちんと回ること。産官学の連携に加えて、消費者の協力意識も重要となる。

 マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといった企業側の努力に加え、リサイクルを一つの産業として成立させるため、財政面や好事例の横展開といった国の支援なども検討する必要がありそうだ。

 プラスチックだけが環境負荷低減の足かせとなっているわけではない。今回の法制化を、身の回りにあるあらゆる資源の使い方を見つめ直すきっかけにしたいところだ。

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