4:罰則は?

 改正高年齢者雇用安定法の65歳までの雇用確保義務や70歳までの就業機会確保の努力義務に関して現時点で罰則は設けられていない。ただ、厚労省は公共職業安定所(ハローワーク)の指導を繰り返し受けたにもかかわらず何ら具体的な取り組みを行わない企業には勧告書を出し、それでも従わない場合は企業名を公表する場合があるとしている。

5:企業の定年制度の現状は?

 高年齢者雇用安定法の改正前でも65歳までの雇用確保措置は義務化されていたが、前述したように17年の厚労省の「就労条件総合調査」によると定年を65歳以上としている企業は17.8%に過ぎなかった。

 では、そのほかの企業はどのようにして65歳までの雇用確保をしているのか。前述のデータとは時期が異なるが、20年の厚労省「高年齢者の雇用状況」によると、定年の引き上げを行っている企業は20.9%、定年制を廃止したのは2.7%。最も多いのは再雇用などの継続雇用制度の導入で、76.4%を占めている。

6:定年延長と再雇用の違いは?

 再雇用制度は定年延長と異なり、60歳などの定年で一度退職となり、再度雇用される。退職前の役職は失い、嘱託社員や契約社員といった異なる雇用形態で契約を結ぶことが可能。勤務時間などの労働条件を変更することもできる。一方で再雇用では給与は定年前の6~8割程度となることが多い。

7:なぜ多くの企業が定年延長ではなく、再雇用制度などの継続雇用制度を選ぶ?

 金氏は「定年延長は人件費が高くなる傾向があり、人事制度全体の見直しが再雇用制度の導入以上に必要になる」と指摘する。景気が悪化した場合などには若年層の採用活動にも影響が出る可能性もある。組織の若返りの観点からも敬遠する企業が多いようだ。

 一方で金氏によると、給与水準が大きく下がる傾向にある再雇用制度では、再雇用された従業員のモチベーションが下がって生産性の低下も見られるといい、定年延長へと切り替える例もあるという。