2021年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は65歳までの雇用確保義務に加えて70歳までの就業確保が努力義務になった。企業には定年延長や定年廃止、再雇用など高齢者の就業確保に向けた取り組みが一層求められる。公務員も段階的に定年を引き上げることが決定。そもそも定年とは何かや、定年延長のメリットなど知っておきたい10項目をまとめた。

1:定年とは?
2:定年延長とは?
3:法改正の背景は?
4:罰則は?
5:企業の定年制度の現状は?
6:定年延長と再雇用の違いは?
7:なぜ多くの企業が定年延長ではなく、再雇用制度などの継続雇用制度を選ぶ?
8:公務員の定年も引き上げられる?
9:そもそも高齢者は働きたいのか?
10:70歳までの就業確保が義務化される可能性は?

1 :定年とは?

 企業や公的機関などに勤める正規雇用者が退職や退官をすることになっている年齢。2017年の厚生労働省「就労条件総合調査」によると、95.5%の企業が定年を定めている。定年の年齢は60歳が79.3%と最も多く、61~64歳が2.9%、65歳が16.4%、66歳以上が1.4%となっている。

2 :定年延長とは?

 定年延長とは、各企業が設ける定年を引き上げること。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)では13年から60歳未満の定年を禁止するだけでなく、65歳までの雇用確保を義務付けた(経過措置により25年までに段階的に引き上げることが可能なケースもある)。これにより定年が65歳未満の企業は「定年の引き上げ」や再雇用などの「継続雇用制度の導入」もしくは「定年制の廃止」といった高齢者雇用確保措置が必要になった。

 21年4月に施行された改正法では65歳までの雇用確保義務に加えて、70歳までの就業機会の確保を努力義務化。企業側には「定年の引き上げ」「継続雇用制度(再雇用制度など)」「定年の廃止」だけでなく、起業やフリーランスを希望する人への業務委託、有償ボランティアなど自社が関わる社会貢献事業に従事させるといった選択肢も追加された。                                           

70歳まで働き続けることが当たり前の社会がやってくる可能性も(写真:PIXTA)
70歳まで働き続けることが当たり前の社会がやってくる可能性も(写真:PIXTA)

3:法改正の背景は?

 ニッセイ基礎研究所の金明中主任研究員は

  • 高年齢者がより長く活躍できる社会をつくるため
  • 少子高齢化による労働力不足の問題を解決するため
  • 公的年金を含む社会保障制度の持続可能性を高めるため

という3つの狙いがあると解説する。生産年齢人口が1990年代をピークに減少する中で、働き手の確保に向けて高齢者の労働市場への参加が求められている。

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