6:海外でワクチンパスポートはどのように使われている?

 海外では、ワクチンパスポートを自国内で利用する国が増えている。フランスではワクチン接種証明書や陰性証明書などを「衛生パス」と認め、レストランや映画館に行く際、18歳以上の一般客はそれらを提示をしなくてはならない。米国ではニューヨーク市がニューヨーク州のワクチンパスポート「エクセルシオール・パス」などの提示を、レストランやバーに加えて、映画館、コンサート会場、劇場、博物館などで基本的に義務付けるようになった。

7:日本でも飲食店、劇場などで提示が求められるようになる?

 レストランやバー、カフェなどに入場する際のワクチンパスポート提示については、8月下旬時点で日本では議論があまり進んでおらず、政府からのガイドラインもまだ出されていない。その一方で、接種記録書などの提示で割引を行うホテルや飲食店、ツアー会社などはすでに出てきており、民間での活用は始まりつつある。

 経団連は前述の提言において、ワクチンパスポートの活用を進め、出入国に限らず、国内での移動、イベント会場や施設などへの入場時の制限や要件を緩和すべきだとしている。優先入場では、人数制限の緩和、人同士の距離制限の緩和、専用レーンの設置などを提案している。

8:仕事で必要になる?

 米国では金融大手ゴールドマン・サックス、ドラッグストア大手CVSヘルス、石油大手シェブロンなどが一部の従業員へのワクチン接種を義務化すると発表している。こうした企業で働く従業員は、接種済みであることを証明するために、ワクチンパスパートを利用することになる可能性がありそうだ。

 米国では政府や民間企業によるワクチン接種の義務化が広がるとする報道がある。このようなケースでは、取引先の会社を訪問する際にワクチンパスポートの提示を求められるようになるかもしれない。

9:差別につながるなどの意見もあるが法的には問題ない?

 21年2月、日本弁護士連合会は、政府によるワクチン接種の推進が差別につながる可能性を懸念する報告書を出した。「政府・自治体が、国民全体に対してワクチン接種を積極的に勧奨していくこととなるため、行政庁による権力的契機や『同調圧力』を背景にして、国民全体が事実上予防接種を強制される状況となり、個人の自己決定権の侵害のおそれが生じるとともに、ワクチン接種を拒否する少数者が偏見差別の対象となるおそれも懸念される」(「COVID-19と人権に関する日弁連の取組-中間報告書-」)。

 ワクチン接種は法律では「努力義務」として位置づけられている。しかしすでに職場によっては打たないと仕事を続けにくくなるような状況が生じているといった指摘もある。国内でもワクチンパスポートを保有する人が優遇されるさまざまな措置が実施されると、ワクチン非接種者が生活しづらい環境になってしまうことが懸念される。

10:デジタル化される予定は?

 加藤勝信官房⻑官は8月26日の記者会見で、新型コロナワクチンの接種証明書に関して、「年内にもデジタル化し国内で活用できるよう検討する」と述べた。日本でワクチンパスポートのデジタル化が決まれば、システム構築などを9月1日に新設されたデジタル庁が主に担当することになる見込みだ。

 米ニューヨーク州の「エクセルシオール・パス」やフランスの「衛生パス」はスマートフォン上で使用できる仕組みになっている

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