政府が新型コロナで打撃を受けたエンタメ業界に対する需要喚起策として「イベントワクワク割」を発表した。2021年に終了した「GoToイベント」を引き継ぐ内容だが、特典となるチケット割引を受けるには、ワクチン接種証明書などの提示が求められる。3回目のワクチン接種促進や景気浮揚の効果はあるのか。知っておきたい10のポイントをまとめた。

(写真:PIXTA)
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1:イベントワクワク割とは何か
2:いつから始まるのか
3:割引の対象となるイベントは
4:チケット割引を受けるまでの流れは
5:GoToイベントとの違いは
6:陰性証明、ワクチン接種証明の確認方法は
7:狙いはワクチン接種の促進なのか
8:実施に向けた予算規模は
9:イベント事業者、チケット販売会社の反応は
10:イベントワクワク割の経済効果はどの程度か

1:イベントワクワク割とは何か

 イベントワクワク割とは、現在政府が実施を検討している、新型コロナウイルスワクチン接種者などを対象にイベントなどのチケット代金を割り引く事業だ。新型コロナ感染拡大で甚大な影響を受けている文化芸術やスポーツに関するイベントの需要喚起を狙うため、チケット代金の2割相当分を政府が給付金として支給する。ただしチケット1枚当たりの割引の上限は2000円。1回の購入につき購入可能なチケット枚数は最大5枚となっている。チケットの割引を得るためには、ワクチン接種歴またはPCR検査等の検査結果が陰性であることの証明が求められる(詳しくは質問6を参照)。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、多くの人々は外出を控えるようになり、イベント・エンターテインメント関連産業は大きな打撃を受けている。ぴあ総研によると、2019年は6295億円あったライブ・エンターテインメント市場は20年、82.4%減の1106億円と大きく落ち込んだ。21年は少し持ち直す動きを見せたが、コロナ前の水準にはほど遠い状態だ。それだけに、政府としてはイベントワクワク割を通じて関連産業の活性化をはかりたいと考えている。

2:いつから始まるのか

 イベントワクワク割のウェブサイト上では「現時点での開始時期は未定」と記されている。

 当初は22年5月に照準を合わせる形で開始準備が進められていたが、新型コロナ第6波の感染者数は下がりきらず、早くも地方を中心に感染者数が再び増加傾向に転じている。キャンペーンを始めるには難しい状況だ。岸田首相も4月13日の参議院の本会議で「感染状況等を踏まえて慎重に検討していくこととし、現時点で直ちに始めることは考えていない」と述べている。

 政府が慎重姿勢を取るのは「7月の参院選を前に世論の批判を受けないようにするため」(経済産業省関係者)との見方もある。20年秋に菅政権が「GoToトラベル」キャンペーンを進め、年末に感染が再拡大した際も政府の対策が批判された。同じ失敗を繰り返さないようにとの思惑があるとみられる。

3:割引の対象となるイベントは。

 日本国内で開催されるコンサートやスポーツ観戦イベント、演劇といったエンターテインメントが対象とされている。旅行や飲食、宿泊を伴うイベントは対象とはならない。オンライン配信イベントも対象となるが、原則日本で撮影のものに限るとされている。

【割引の対象となるイベントのジャンル例】

映画館 演劇 音楽コンサート 芸能・演芸 参加型スポーツイベント スポーツ試合観戦 展示会 伝統芸能 博物館 美術館 動物園 水族館 ファッションショー 舞踊 遊園地・テーマパーク

4:チケット割引を受けるまでの流れは

 給付金の対象者はあくまでチケットを購入する消費者だが、消費者自らが給付金の申請や受け取りはしない。消費者の代わりに、イベントワクワク割に参加する登録チケット販売事業者がそれらの手続きを行う「代理受領」の仕組みを取っている。従って、消費者は登録チケット販売事業者を通じてチケットを購入すれば、割引の特典を受けられる。

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