5:デメリットは?

 週休3日制の運用は様々だが、従業員にとっては給料が減るケースもある。「拘束時間ベースで賃金や人事評価が決まる製造現場のような固定的な制度をそのまま適用するだけでは、従業員の給与が下がる可能性がある」(沢渡氏)。

 副業を許可するなど柔軟な制度を採り入れず、単に働く日数を減らすだけでは、従業員にとっては収入が下がることによる不利益が大きく、会社への愛着である「エンゲージメント」が下がってしまうという指摘もある。そうした場合、相対的に生産性低下や稼ぐ力の低下につながりやすい。働く日数が減ることで、実質的なコミュニケーション不足を懸念する声も出ている。
 

6:すでに導入している企業は?

 厚生労働省の20年の就労条件総合調査よると、週休を3日以上としている企業は8.3%。10年の3.9%の2倍以上となっている。

 ファーストリテイリングは15年10月から導入している。全国各地のユニクロで働く転勤のない「地域正社員」が対象。1日8時間の法定労働時間の適用を受けない「変形労働時間制」を活用して出勤日の勤務時間を10時間とすることで、1週間の勤務時間を10時間×4日=40時間とし、通常のフルタイム勤務の8時間×5日=40時間と同等にしている。

 ヤフーは、小学生以下の子供の養育、もしくは家族の介護や看護をしている正社員・契約社員を対象に、週休3日を選べる制度を17年4月から取り入れた。同社広報によると、これまで延べ100人ほどが制度を活用した。

 東芝は在宅勤務が難しい工場で働く一部の人を対象に20年6月から試験導入。みずほフィナンシャルグループ(FG)も20年12月から週休3日や週休4日で働ける制度を取り入れるなど動きが広がっている。

7:導入企業は給与をどう支払っている?

 ユニクロの地域正社員のケースでは、勤務する日の勤務時間を延ばして増やした休日分の勤務時間を補えうことで、同額の給与を支給することとしている。一方で、みずほFGのように、週休3日の基本給は従来の80%程度、週休4日の場合は従来の60%程度としている企業もある。

8:年金や社会保障への影響は?

 週休3日を活用し給与が減ると、年金をはじめ、健康保険や介護保険、出産手当金など様々な社会保険の給付に影響を与える可能性がある。

 「通勤手当の実費支給について知っておきたい10のこと」でも触れているように、厚生年金保険料など社会保険料は「報酬月額」により決定される仕組みになっている。社会保険料は、事業主から受け取る報酬の月額を区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」の等級と、社会保険の種類によって異なる保険料率で算出される。週休3日の導入で等級が下がることになれば、毎月支払う保険料も減る。最終的に、将来受け取る年金額にも影響することになる。

 例えば週休2日で月収40万円の人が週休3日となることで月収が2割減となり32万円となったとする。厚生年金の等級は「39万5000円以上、42万5000円未満」から「31万円以上、33万円未満」へと4等級下がることになり、支払う年金保険料は約45万円から約35万円へと約10万円下がる。

 一方で将来受け取る年金はというと、65歳から受給するとした場合、週休2日だと年間約67万円だったものが、年間約52万円にまで下がることになる。これはあくまで40歳以降も「同じ条件が続く」仮定したケースであり、報酬が増加すれば受け取る年金も増える可能性がある。

 また同じ条件で考えた場合、「支払う健康保険料が安くなった結果、受け取る出産手当金や育児休業給付金、介護休業給付金も少なくなる」とファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏は説明する。

9:副業はできる?

 週休3日となることで自由な時間が増えることから、副業をする機会につながると考える人も多いかもしれない。

 「みずほFGも導入する週休3~4日制、安易に飛びつくのは厳禁」にもあるように、みずほFGは週休3日や4日を選んだことで増えた休みは、キャリアアップのための勉強や介護のほか、副業などに利用してもらいたい考えだ。

 一方でヤフーは「現在行っている週休3日を取得できる制度はあくまで育児や介護、看護を行う従業員が対象」(広報担当者)で、副業を目的とした取得は認めていない。どのように増えた休日を活用するかは企業の意向にも左右されそうだ。

10:課題は?

 沢渡氏は「週休3日制や副業解禁の導入で1人が複数の組織に属するフリーランス化が進むと、確定申告など無報酬の間接業務が増えて負担がかかる可能性がある」と指摘する。デジタル化などで手続きをスムーズにするなど、社会保障関連の間接業務の煩雑さをなるべく減らす国の仕組みづくりが必要となる。企業にとっては勤怠管理システムの変更など、導入に負担が増える可能性もある。

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