8:労基署は是正されたかどうかをどのように判断する?

 労基署が確認した違反のうち送検された件数はわずか。残りのケースでは、労基署はどのように対応しているのだろうか。厚労省の担当者は、「(例えば)今後どのように取得させるかという計画を使用者に求めたり、計画策定後の継続的な報告によって確実に取得されていることを確認したりすることをもって、改善されたと判断している」と説明している。

9:義務化などによって年休の取得は増えた?

 厚労省によると、法律上付与される日数のうち実際にどれくらいが取得されたかを示す取得率は上昇傾向にある。労働者1人当たりの平均値は16年まで10年間以上、40%台で推移していたが、17年に51.1%に上昇、19年は56.3%となった。20年は56.6%で、平均17.9日付与されているうち平均取得日数は10.1日だった。

10:年休取得は現状で十分なのか?

 年休の取得率は上昇しているとはいえ、付与された年休の半分近くは依然消化されない状況となっている。政府は過労死防止大綱で「25年までに取得率70%以上」を目標に掲げており、差は大きい。

 労働政策研究・研修機構が21年7月に発表した調査によると、年休を取り残す理由には「急な用事のために残しておく必要があるから」が74.1%、「病気のために残しておく必要があるから」が70.5%となっている。

 一方で「休むと職場の他の人に迷惑になるから」(51.7%)、「休みの間仕事を引き継いでくれる人がいないから」(39.7%)、「仕事の量が多すぎて休んでいる余裕がないから」(38.5%)、「職場の周囲の人が取らないので年休を取りにくいから」(25.6%)というように、年休取得ができない理由として仕事量や職場の雰囲気を挙げる回答も多い。

 厚労省のまとめによる20年の産業別の取得率を見てみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」は73.3%と高い一方で、「宿泊業・飲食サービス業」は45.0%、「複合サービス業」は47.7%といったように業種によって状況は異なる。いかに年休の取りやすい職場環境を築いていくか。官民を挙げた一層の取り組みが必要になっている。

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