政府はすべての戸籍の氏名に読み仮名をつける戸籍法の一部改正を閣議決定した。2024年度の施行を見通しており、成立した場合、戸籍上の氏名に読み仮名がついたり、新生児の名づけにおいて規定ができたりするなどの変化がある。全日本人が関わる「戸籍」の今について、知っておきたい10のことをまとめた。
1:そもそも戸籍とは何か
2:戸籍法改正の閣議決定の内容は
3:今回の戸籍法改正に至った背景は
4:改正が成立すると、国民にはどのような影響があるのか
5:なぜこれまでの戸籍には読み仮名がないのに、出生届には必要なのか
6:新生児に対する名づけの「規定」はどうなるのか
7:改正戸籍法ではどのような読み仮名がNGになるのか
8:新たな規定に反する読み仮名の名を既に持っている人はどうなるのか
9:改名したい場合はどんな手続きが必要なのか
10:戸籍に別の読み仮名を登録した場合、どうなるのか
1:そもそも戸籍とは何か
法務省によると、戸籍は「人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもの」で、日本国籍を公証する唯一の制度。つまり、日本国籍を有していることや、「夫婦」や「父母と子」といった単位での関係性を証明する。
行政手続きに必要な個人証明の中でも、戸籍は公証となるため、戸籍上の氏名が、住民票やマイナンバーカードに記載される。つまり、公的な名前となる。
ちなみに、このように複数人単位での戸籍制度を持っている国は世界的に見ても数少なく、アジアの一部の国や地域を除き、ほとんどの国が国民の個人情報を個人単位で管理している。
2:戸籍法改正の閣議決定の内容は
3月に政府が閣議決定した戸籍法改正の要綱の内容は、すべての戸籍上の氏名に読み仮名を必須とする、というものだ。
同時に、これから戸籍に届け出される新生児の氏名について、規定が加わる。それは、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」とする。

3:今回の戸籍法改正に至った背景は
戸籍に読み仮名をつけるという議論は以前から既になされていた。最大の目的が、行政におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。これまで、戸籍に登録される漢字表記の氏名が公証のものであったため、行政機関の窓口などで個人を検索する際、漢字の表記揺れなどによる手続き上の混乱が生じる場面があった。そのため、今回、読み仮名をつけて統一することで、行政においてもよりスムーズに事務処理が進み、個人を検索しやすくするなどのメリットがある。
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