新型コロナウイルス感染症の流行で導入が加速した在宅勤務などのテレワーク。働き方の変化に伴って、これまで定期代分を支給してきた通勤手当を実費精算に切り替える企業も出てきている。通勤手当とはそもそもどういうものなのか、年金などへの影響はないのか、10項目にまとめた。

(写真:PIXTA)

1:そもそも通勤手当とは?
2:会社には支払う義務がある?
3:実費精算への切り替えが増えている?
4:実費精算に切り替える企業側のメリットは?
5:将来の年金の受取額には影響する?
6:仮に1等級下がると、もらえる年金はどれだけ減る?
7:年金額以外への影響は?
8:在宅勤務への手当が設けられる例もあるが、年金の受給額には影響する?
9:社会保険料の支払いにはいつから影響が出る?
10:企業が気を付けないといけないことは?

1:そもそも通勤手当とは?

 企業が従業員に支払う手当の1つで、通勤にかかる費用を従業員に支給するもの。自宅と職場を結ぶ電車やバスといった公共交通機関の定期代などを企業が負担するケースが一般的だが、自家用車やバイクなどでの通勤費用を負担する例もある。

 電車やバスなど公共交通機関を利用している場合に支給される通勤手当は月15万円までが非課税で、マイカーや自転車通勤のみで通勤している場合の通勤手当については、距離に応じて非課税となる限度額が定められている。

2:会社には支払う義務がある?

 

 会社に支払う義務はない。

 ただ、厚生労働省の就労条件総合調査によると、2019年11月時点で92.3%の企業が「通勤手当など」を支給している。企業規模別でも1000人以上の企業で94.4%、30~99人の企業で91.0%と規模にかかわらず、いずれも高水準となっている。これは「住宅手当など」(47.2%)、「家族手当、扶養手当、育児支援手当など」(68.6%)と比べても高い。

 厚労省の資料によると、通勤手当を導入している企業の割合は1950年に19.3%だったが、60年には55.3%に急増。70年には80%を超えた。背景には都心部における住宅事情の逼迫(ひっぱく)によって遠距離通勤が増えたことや、高度成長期で不足していた労働力の確保に向けて企業側が積極的に導入を始めたことがある。

3:実費精算への切り替えが増えている?

 新型コロナウイルス感染症の流行による在宅勤務などテレワークの普及によって、従来のように日常的に出社する従業員が少なくなる中、これまで定額支給をしていた通勤手当を実費支給に切り替える例は少なくないようだ。

 東京都の調査によると、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は57.1%に上り、従業員300人以上の企業では76.5%が導入している。テレワークを実施した社員は平均50.4%で、週3日以上の実施が約55%、週5日の実施も25%に上っている。

 では、通勤手当の実費支給への切り替えはどうか。クラウド人事管理システムのWorks Human Intelligence(東京・港)が20年10~11月に同社システムの利用企業162社を対象に実施した調査では、26.4%の企業が在宅勤務やテレワークの実施に伴い交通費の実費支給を「実施している」と回答した。また、「20年中の実施に向けて準備中」と答えた企業は3.6%、「21年中の実施に向けて準備中」と答えた企業は10.7%、「検討中」と答えた企業は27.9%に上っている。

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