自宅や職場から大空を飛んで目的地まで移動する。そんなSFの世界が現実となりつつある。それが「空飛ぶ車」だ。自動車メーカー各社やベンチャー企業が挑戦しており、新たな産業としての期待が高まっている。そもそも空飛ぶ車とは何か、実際にいくらぐらいで乗車できるのかなど、知っておきたい10項目を解説する。

1:空飛ぶ車とは?
2:求められる背景?
3:人が乗れる大型ドローン?
4:運転は人が行う? AIが行う?
5:なぜ各社が参入している?
6:どんな事業者が参入している?
7:価格はいくらになる?
8:活用される産業は?
9:法改正での課題?
10:いつごろ実現できる?
1:空飛ぶ車とは?
まず空飛ぶ車は2つのカテゴリーに分かれている。
(1)従来の自動車に羽根が付いた、空路と陸路のハイブリッド利用が可能なタイプ
(2)プロペラやジェットエンジンにより、垂直離着陸(VTOL)ができる空の移動に特化したタイプ
推力にプロペラやジェットエンジンなどの違いがあったり、その機能や目的に差異があったりするが、大まかに2種類に分類可能だ。軽飛行機やヘリコプターと比較して、より短距離を高速で移動することを目的としたものが多いのも特長として挙げられる。
2:求められる背景?
空飛ぶ車が求められる背景。それは、道路を使用しない移動で渋滞が解消される点、災害救助の観点、技術開発の先行により他メーカーや他国よりイニシアチブを取ることができるなどがある。
中でもAI(人工知能)を活用した自動運転での空の移動が実現すると、渋滞だけでなく人手不足の解消にもつながると考えられており、それが一般化すれば利便性は高いだろう。最終的には、自動車や鉄道に代わる交通手段となり、都心の人口の一極集中を解消する手だてにもつながるかもしれない。
また、当初は実現性が薄いSFの話だったが、ここにきて実現性も高まっている。それぞれの製品の小型化が進み、人を乗せることができるプロトタイプモデルでの実証実験が進んだ。その結果、遠い未来の話が、実現性を含めた可能性が見えてきている。具体的には、コアとなる飛行技術だけでなく、姿勢制御や画像認識、GPS(全地球測位システム)による誘導などの技術向上が日進月歩で進んでいる。
3:人が乗れる大型ドローン?
2000年代に構想された試作モデルでは、既存の自動車に羽根が付いたモデルが多かった。これは揚力によって空に飛び立つことと、陸上での移動とハイブリッドで利用することを目的としていたからだ。汎用性が高い半面、滑走路が必要だった。
現在の主流はVTOLタイプと呼ばれるもので、地面に対して垂直に回転するプロペラが空飛ぶ車に付いており、浮力と推力を得て飛行可能なモデルだ。イメージとしては、超巨大なドローン(小型無人機)を作り、そこに人が乗車できるスペースが付いている。

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