ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアが対外債務のデフォルトに陥る可能性が高まってきている。格付け会社は侵攻を契機に相次いでロシア国債の格下げを発表した。3月半ばから相次ぐ利払いが滞れば、国債は“紙くず”同然に扱われ、通貨ルーブルも暴落しかねない。そもそもデフォルトとは何か、世界への影響はあるのかなど、知っておきたい10項目を解説する。

1:デフォルトとは?
2:ロシア国債に対する現時点での格付けは?
3:ロシア国債がデフォルトに陥るとすれば、いつ?
4:ロシア国債がデフォルトに直面した理由は?
5:これまでデフォルトに陥った国は?
6:デフォルトになるとロシアはどうなる?
7:国際通貨基金(IMF)は支援しないの?
8:デフォルトによって日本などで予想される損失は?
9:世界的な経済危機は訪れる?
10:侵攻が終結すれば、ロシア国債は信用を回復できる?

ロシア国内のATMでは外貨を引き出そうとする人の列ができた(写真:The New York Times/Redux/アフロ)
ロシア国内のATMでは外貨を引き出そうとする人の列ができた(写真:The New York Times/Redux/アフロ)

1:デフォルトとは?

 債務不履行のこと。公債や社債の利払いが遅延したり、元本の償還ができなくなったりした状態を指す。

 デフォルトに陥ったかの認定は一般的に格付け会社が行う。格付け会社の世界大手には米S&Pグローバル・レーティング、米ムーディーズ・インベスターズ・サービス、米英系のフィッチ・レーティングスがある。

2:ロシア国債に対する現時点での格付けは?

 ムーディーズは3月6日、ロシアの自国通貨建てと外貨建て長期発行体(長期国債)格付けを非常に投機的であることを示す「Ca」に格下げした。Caは21段階である格付けの20番目で、デフォルト状態を指す最低の「C」より1段階だけ上。ムーディーズは3日に上から10番目の「Baa3」から16番目の「B3」に引き下げたばかりだった。

 ムーディーズは声明で「デフォルトが発生するリスクは大幅に高まっている」と指摘。見通しは「ネガティブ」としており、今後追加の引き下げの可能性もある。

 S&Pグローバルも3日に外貨建ての長期債務格付けを「ダブルBプラス」から「トリプルCマイナス」まで8段階引き下げた。フィッチ・レーティングスも2日に「トリプルB」から投機的水準にあたる「B」に6段階引き下げ。8日にはさらに6段階下の「C」に引き下げた。

3:ロシア国債がデフォルトに陥るとすれば、いつ?

 注目されるのが3月16日から訪れる利払い期限だ。ムーディーズは3日、ロシアの自国通貨建てと外貨建ての長期発行体格付けを「B3」に引き下げたと発表し、「16日に予定される1億1700万ドル(約130億円)のクーポン(利息)支払いを監視する」と指摘した。30日間の猶予期間があるため、利払いが遅れてもただちにデフォルトと認定されないとみられるものの、その後も支払期限を相次いで迎える。

 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「4月中旬にもデフォルト認定が格付け会社によってされる可能性がある」としている。