非難できても法的拘束力はない

7:国連総会緊急特別会合とは?

 2月28日から3月2日まで国連総会が緊急特別会合を開いた。総会の緊急特別会合は安保理の意見がまとまらず決議が採択できない場合、安保理理事国のうち9カ国以上か国連加盟国の過半数の要請によって開かれる。今回は安保理理事国15カ国中、11カ国の要請によって開催が決まった。この総会で決まった内容について法的拘束力はない。しかし、多くの国がロシアを非難する決議案に賛成することで、ロシアへの圧力にはなり得る。

8:緊急特別会合はいつ以来の開催?

 安保理の要請による招集は1982年以来、およそ40年ぶりだ。緊急特別会合はこれまで11回しか開催されていない。82年の会合ではイスラエルによるゴラン高原併合について話し合われた。そのほか、第2次、第3次中東戦争や、旧ソ連のアフガニスタン侵攻などの議題で開かれたことがある。

9:今回の緊急特別会合でどんな発言があった?

 緊急特別会合では約120カ国が3日にわたって演説をした。今回は冒頭で国連のグテーレス事務総長が「戦争は解決策になり得ない」と演説した。ウクライナの国連大使は「ウクライナが生き残らなければ、国際平和も生き残れないだろう」と発言。一方で、ロシアの国連大使はこれを非難し、「現在の危機の根源はウクライナ自身にある」と主張した。

 3月2日、ロシアを非難し軍の即時撤退などを求めた決議案が賛成多数で採択された。欧米や日本など賛成した国が141カ国、ロシアやベラルーシなど反対した国が5カ国、中国やインドなど投票を棄権した国が35カ国だった。

10:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の人道的支援は?

 UNHCRによると、ウクライナから近隣諸国に避難した難民は3月3日時点で約100万人。UNHCRは現在ポーランドやルーマニアで各国の行政とやりとりし、難民が必要とする物資に関する支援などを行っている。

 国連はウクライナ国内で1200万人が救援と保護を必要とし、400万人以上のウクライナ難民が近隣諸国において支援を要すると推定。難民への緊急の人道支援提供のために、17億ドルが必要としている。

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