世界中から非難を浴びたロシアによるウクライナ侵攻。暴走を止められず、停戦への有効な手立てを示せない国際連合の安全保障理事会に対する批判が高まっている。安保理が機能不全に陥ったことから、2月28日には40年ぶりに国連総会で緊急特別会合が開催された。なぜ国際的な平和と安全を維持するはずの安保理が機能しないのか、今知っておきたい10項目で整理した。

1:そもそも国際連合とは?
2:安全保障理事会とは?
3:理事国のメンバーは?
4:拒否権とは?
5:日本は常任理事国になれない?
6:なぜ中国、インドなどは安保理決議で投票を棄権したのか?
7:国連総会緊急特別会合とは?
8:緊急特別会合はいつ以来の開催?
9:今回の緊急特別会合ではどんな発言があった?
10:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の人道的支援は?

(写真:AP/アフロ)
(写真:AP/アフロ)

1:そもそも国際連合とは?

 国際連合とは1945年10月24日に設立された国際機関。現在は193カ国が加盟しており、本部は米ニューヨークにある。総会や安全保障理事会、経済社会理事会、国際司法裁判所など6つの機関を持つ。さらに国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)や世界保健機関(WHO)、世界銀行グループなどさまざまな専門機関や関連機関がある。

 国際連合という名称は第2次世界大戦中に米国のフランクリン・D・ルーズベルト大統領が考案した。45年に開かれた「国際機関に関する連合国会議」に50カ国の代表が集まり、国際連合憲章を起草した。その後、国際連合憲章に署名した国の過半数の批准によって正式に設立された。国際連合憲章は加盟国の権利や義務を規定しているほか、国連の主要機関や手続きを定めている。

2:安全保障理事会とは?

 安全保障理事会(安保理)とは国連の中で国際平和や安全の維持を役割として担っている機関のこと。国連憲章の第23条で、安保理は15の国際連合加盟国で構成されることが決められている。具体的な活動としては、国連平和維持活動(PKO)の設立や多国籍軍の承認、制裁措置の決定などがある。

 2月25日には、前日24日に起きたロシアによるウクライナ侵攻についての会合が開かれた。侵攻しているロシアへの非難と即時撤退を求める米国などが作成した決議案が提出されたが、否決された。

3:理事国のメンバーは?

 国連憲章の第23条で、安保理は15の国際連合加盟国で構成されることが決められている。現在のメンバーは以下の通りだ。

  • 常任理事国:米国、英国、フランス、中国、ロシア
  • 非常任理事国:ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)、ガーナ、ガボン、アルバニア、インド、アイルランド、ケニア、メキシコ、ノルウェー

 常任理事国の5カ国は入れ替えがない一方、非常任理事国10カ国は任期が2年で、全加盟国による秘密投票によって選出される。地域ごとに内訳も決まっており、アフリカ3カ国、アジア・太平洋2カ国、東欧1カ国、ラテンアメリカ・カリブ地域2カ国、西欧その他2カ国となっている。

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