7:SWIFT排除以外に、主要国はロシアの資金源をどう断とうとしている?

 ロシア側が各国に保有する資産を動かせないよう圧力を強めている。既に主要なロシア金融機関の海外資産を凍結する方針を決めた。2月26日に米欧カナダの6カ国とEUが表明(27日には日本も参加を表明)した方針では、ロシアの中央銀行が米連邦準備理事会(FRB)などに置いているドル資産(いわゆる外貨準備)を事実上凍結する案が有力。外貨準備の凍結により、ルーブル安を止めるための為替介入をできないようにする狙いだ。ロシアの中銀は28日午後、政策金利を9.5%から20%に引き上げ、ルーブルの防衛を図っている。

 また、厳密には制裁ではないが、格付け会社大手のS&Pグローバルはロシアを2月25日に格下げし、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも同日、格下げ方向で見直すと発表した。格下げで国債などロシアの債券を投資家が敬遠することになれば、結果的に資金調達面でロシアへの打撃になる。

8:世界経済にどんな影響が?

 ロシアの主要銀行への送金ができなくなるため、支払いができず、ロシア企業を相手にした貿易が停滞する。ロシアの輸出産業は石油・石油製品や天然ガスなどが過半を占めるが、それ以外にも小麦、半導体製造に利用されるパラジウムなどでも主要輸出国だ。世界への供給が滞れば、様々な製品の生産やエネルギー供給の足かせになる。

 実際、コモディティー市場では北海ブレント先物が一時105ドル台と、2014年8月以来の高値水準に近づいた。需給が締まって資源価格が高騰することになれば、世界各地の輸入企業や消費者にとっては負担増にもなる。世界的なインフレに拍車をかけることになれば、世界の経済活動全体にもマイナスになる可能性がある。制裁をかける側にとっても痛みを伴う手法だ。

9:金融市場の反応と今後の見通しは?

 2月28日の外国為替市場では朝方からロシアの通貨ルーブル関連の取引が事実上停止。制裁の手続きの詳細は明らかになっていないものの、銀行間市場で参加者が取引を手控えて流動性が極端に低下した。外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける各社は28日早朝からルーブルの注文受け付けを停止したという影響も出た。

 その後、一時1ドル=110ルーブル台で値が付いたとされ、24日に1ドル=89ルーブル近辺だった史上最安値をさらに更新した。ある外為ディーラーによると、過去の例ではアジア通貨危機時に取引が棚上げされ、数カ月後に一定の仕切り値で取引が処理されたことがあるという。

 一方、東京株式市場の値動きは方向感が定まらない。28日の日経平均株価はわずかに上昇。ロシアとウクライナの停戦協議に期待する向きもあるようだ。個別銘柄で見ると、三井物産が一時5%以上下落。同社はロシアで石油やガスの複合開発プロジェクト「サハリン2」に出資しており、制裁強化で悪影響を受けるとの思惑が出ている。

10:日本企業への影響は?

 日本とロシアの貿易総額(輸入と輸出の合計)は新型コロナ禍前の19年で2兆3432億円、20年は1兆7726億円。輸出品目としては自動車とその部品(いずれも中古を含む)が約半分を占め、ゴム製品、建設用・鉱山用機械、原動機などが続く。

 こうした業種で貿易の対価を受け取れなくなったり、逆に支払いができず商品を受け取れなくなったりする可能性がある。全ての取引が商社を経由しているわけではなく、影響は読み切れない。政府系金融機関はセーフティーネット貸付制度を準備し、中小企業の一時的な資金繰りの悪化に備えている。

この記事はシリーズ「10 Questions」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。