4:過去にも排除された国はある?

 SWIFTは近年、経済制裁において重要な役割を果たすようになっている。12年3月にはイランの核開発疑惑をめぐり同国の金融機関が排除された。イランの原油輸出量は半減し、対外貿易額はは30%減少したという。イランは15年7月、制裁の緩和と引き換えに核開発の制限を受け入れる「核合意」を、米英仏独中ロと結んだが、SWIFT排除が効いたとの見方が多い。イランは18年に再びSWIFT排除の制裁を受けている。

5:SWIFT以外で送金する手段はある?

 ロシアはSWIFTからの排除に備えて「SPFS」と呼ばれる独自の銀行間決済ネットワークを開発している。14年にウクライナ南部のクリミア半島を併合した際、SWIFTからのロシア排除案が浮上したのを機に誕生した。現在、約400の金融機関などが利用しており、ロシア国内のSWIFT加盟数を上回っている。だが、ほとんどがロシア国内での利用にとどまっている。

 今後SPFSが拡大すれば、海外との資金のやり取りができる可能性は高まる。今回の制裁をきっかけに、ロシアと経済的結びつきが強い新興国や途上国の決済がSPFSに流れることも十分考えられる。また中国を中心とした人民元による独自の決済ネットワーク「CIPS」を活用する手もありそうだ。CIPSは15年に中国が開発し、海外金融機関の利用もある。

 ほかにも、金融機関を介さない暗号資産(仮想通貨)の取引が抜け道として利用される恐れもある。ロシアをSWIFTから排除することがマネーロンダリングにつながる取引を活発化させたり、ドル以外の国際決済を増やしたりすれば、基軸通貨ドルの信認低下につながるリスクもはらむ。排除は「もろ刃の剣」ともいえそうだ。

6:ロシア排除で当初は欧米諸国の足並みがそろわなかったのはなぜ?

 ウクライナは「欧州には侵略を止めるための十分な力がある」(ゼレンスキー大統領)として、EUにSWIFTからの排除に乗り出すよう求めてきたが、EU内ではぎりぎりまで慎重論があった。ロシアはEUにとって原油、天然ガスなどの主要供給国。とりわけオランダとドイツはロシアにとって中国に次ぐ2番目、3番目の貿易相手国であるだけに、自国経済に甚大な影響が及ぶことを懸念していた。ほかにもロシア産ガスへの依存度が高いイタリアや、プーチン政権と緊密な関係にあるとされるハンガリーも難色を示していた。

 雰囲気が変わったのは、2月24日のEU緊急首脳会議後だ。ウクライナ側から「(ウクライナの)人命よりも(EUの)経済的幸福を選んだ」(元駐EUウクライナ大使)などと反発の声が上がったほか、国際世論もロシアにより強い制裁を課すべきだとの批判の声が高まった。これを受け、ドイツなどのEU内の慎重派も方針を転換したとみられる。