一方、法的整理は裁判所が主導する手続きを指す。手続きが公になり取引先なども再生手続きに関わることになるが、裁判所による再生のため信頼性がある。

 事業再生ADRは国が認定した専門機関などが債務者と債権者に入る私的整理とはいえ、公的整理にあるような信頼性を得られる。事業再生計画案を練ることで取引を継続しながら、柔軟に再生への道を進められる。

9:ADRによって再生を図った企業の事例は?

 経済産業省によれば20年3月までの時点で、計253社から事業再生ADRの手続き利用申請があった。上場企業でいえば、田淵電機、自動車部品の曙ブレーキ工業、文教堂グループホールディングスなどが事業再生ADRを利用した。

10:自動車部品メーカーの経営悪化は連鎖しないか?

 完成車メーカーの多くは半導体や部品不足により生産を減らさなければならなかったが、米国や中国といった主要市場で需要が回復し、値引きをしなくていい分、利益が押し上げられている。一方、自動車部品会社にとっては生産量こそが要だ。販売減少により部品の在庫を抱えながらも、将来的に来る増産要請に備えなければならない。こうした在庫の大幅増が部品メーカーの経営を圧迫している。

 22年からは半導体不足や部品不足が緩和されるという予測も出ている。そうなれば自動車の生産量も増え、部品会社が抱えていた在庫も一気に放出され、業績が回復に転じる可能性は高い。その意味で、自動車業界に詳しいナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は「今後の部品メーカーへの影響について心配はしていない」と話す。

 ただし、完成車メーカーの業績が回復しても、その恩恵が部品会社に及ばないという構図は変わるべき時にきているかもしれない。中西氏は「(完成車メーカーが上げた利益が)フェアに分配されればいいが、そうはなっていない。日本経済において、そこに大きな構造的問題があるように思う」と指摘する。

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