3:電気自動車(EV)シフトへの対応は?

 長年ガソリン車向けの部品が主力だったことから、最近では電動車を視野に入れた研究開発も加速させ、EVを走らせる動力ユニットである「eアクスル」の開発を進めている。電気モーターや出力を制御するインバーターは、EVの性能を左右する重要な技術で、マレリにとって大きな武器になる。

マレリが群馬県邑楽町に構える工場の生産ライン(20年7月、写真:ロイター/アフロ)
マレリが群馬県邑楽町に構える工場の生産ライン(20年7月、写真:ロイター/アフロ)

 マレリが開発したモーターはスポーツカーで知られる独ポルシェのEV「タイカン」に採用されており、自動車メーカーからも高い評価を受けていることが分かる。

 自動車用ランプの事業を発展させ、自動運転車に欠かせないLiDARセンサーの開発にも取り組み始めている。コックピット、空調システムなどは電動車でも需要が続くため、複雑な電子制御に対応するような技術開発も進めている。

4:マレリの最近の業績は?

 20年12月期の売上高はグループ全体で1兆2660億円。世界的にも規模の大きい「メガサプライヤー」の一員といえる。ただし、旧カルソニックカンセイと旧マニエッティ・マレリの経営統合前の18年10月に出された開示資料は、統合を「世界有数の独立した自動車部品メーカーを生む画期的なもの」とした上で、統合会社の売上高を約1兆9750億円としていた。

 これを踏まえると、日産の販売不振や新型コロナウイルス禍の影響を受けた減産が経営統合後の業績にかなりの打撃を与えていたことがうかがえる。20年5月には株主であるKKRと日本の大手銀行から1300億円の追加資金を確保したと発表し、「市場の低迷が長期化した場合でも、長期的な安定と柔軟性を強化することが可能になる」としていたが、それでも足りなかったのかもしれない。

 上場廃止後も決算公告によって開示されてきたマレリ単独の業績は、19年3月期の税引き損益が150億円の赤字、19年12月期(決算期変更に伴う9カ月の変則決算)は84億円の赤字、20年12月期は282億円の赤字だった。直近の21年12月期も赤字だったとみられ、苦しい状況が続いていた。マレリが抱える債務は1兆円に達するとされる。

コロナ禍で業績が一段と悪化した
●マレリ(旧カルソニックカンセイ)の単独業績
<span class="fontSizeL">コロナ禍で業績が一段と悪化した</span><br>●マレリ(旧カルソニックカンセイ)の単独業績
注:19年12月期は9カ月の変則決算、決算公告を基に日経ビジネス作成

5:なぜ業績が悪化したの?

 大口の取引先である日産の業績不振が続いていたことに加え、新型コロナの流行により日産だけでなく自動車業界全体の生産量が減少したことが影響した。工場などのロックダウンや感染拡大による人員不足、世界的な半導体不足の長期化によって生産調整が続いている。納入先の減産でマレリの工場の稼働率も低下し、業績が悪化したとみられる。

 国内工場の閉鎖や、さいたま市にある本社ビル売却など、コスト削減や効率化のために動いてきたものの、リストラを含む旧マニエッティ・マレリ側との統合作業がなかなか進まなかったことも背景の1つにあるとみられている。