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 新型コロナの感染拡大の状況やその対策は、地域ごとに大きく異なる。日経ビジネスの4つ海外支局が、お互いに他地域への疑問や質問を投げかけてみた。このQ&Aシリーズの第3回は米国。

 米国編の本編「マスク拒否は『権利』、政治信条が招いた米国の感染拡大」はこちら

Q1:米国には世界一とされる感染症研究機関があるのになぜ機能しなかったのか。

A1:確かに米疾病対策センター(CDC)は感染症では世界一の研究資源を持つ機関として知られている。ただどんなに優れた研究所が国内にあっても、ウイルスの感染拡大を防ぐには国民の行動をどう統制していくかが重要になる。

 米ハーバード大学薬学部のアサフ・ビットン准教授は、CDCが力を十分に発揮できなかった理由を「新型コロナ対策の陣頭指揮を誰が執るのかがあやふやなままだった。どの専門家の言うことを信じればいいのかが国民に明確ではなかった」ことを挙げる。

 トランプ大統領の支持者の中には、「科学の専門家はトランプ氏を大統領選で落とすためにうそをついてきた」と本気で信じている人もいる。米政権の対策チームのメンバーだったアンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は、一部の国民から「大統領よりも信頼できる」と絶大な人気を誇る一方、トランプ派からは「米経済をあえて弱らせようとしている」と攻撃された。

 科学を否定する層にとっては、どんなに優れた専門家の見識も無意味だった。

「かかりつけ医」に似た診療所チェーン

Q2:PCR検査が手軽に受けられるようだが、どれほど普及しているのか。

A2:州によって差はあるが、基本的に米国に住む人なら保険に入っていなくても誰でも無料で受けられる。

 例えばニューヨーク市には、軽いけがや風邪などのときに予約なしで訪問できる、日本で言う「かかりつけ医」に似た診療所チェーンがコンビニのような間隔で点在している。そこへ行けば、PCR検査も抗体検査も無料で受けられる。通常、結果は3~4日後に通知される。郊外では自動車に乗ったまま検査を受けられる「ドライブスルー」型の検査所が州などにより設置されている。

 ただ11月に入ってからは感染者数が急増したのと、ホリデーシーズンに故郷に帰る学生も多いため、どの検査施設でも長い行列ができている。

 そんな状況を受けてニューヨーク市では、顧客に検査サービスを提供するレストランも登場した。「シティー・ワイナリー」という店で、事前に予約すれば50ドルで検査を受けられる。レストラン側は、感染者数が増えて州や市から閉鎖を命じられるのを防ぎたい狙いもある。