「本名・請願駅」、「実質・〇〇負担駅」の事例はほかにもある。北海道当別町。この街にはチョコレート菓子「ロイズ」のブランドで知られるロイズコンフェクト(札幌市)が工場を構えており、JR北海道札沼線に新駅の設置が決まった。22年の開業を目指す。

 新駅は、ロイズの負担で駅舎の建設を進め、最終的には当別町に寄付する形をとるという。この狙いもホンダと同様で、まずは「自家用車や別の駅から送迎バスで通勤していた従業員の利便性が増す」(ロイズコンフェクト)という効果に期待を寄せる。町も「新駅で交流人口は増えるはずなので、面としてエリアが活性化することにもつながる」と話す。

街をつくり変える知恵と工夫、万策は尽きていない

 今連載ではこれまで、コロナ禍と日本経済の浮き沈みに翻弄されながら、身動きがとりにくくなっている地方と地方経済を見てきた。かつて、人口増に向けてあらゆる手を尽くし「奇跡」とも呼ばれた街の現在地も伝えた。関係者は皆、嘆きながら過去を振り返った。

 だが時は待たない。コロナ禍に加え、人口減・高齢化、さらには街自体が急激に老いていく現実が迫る。今後、医療も教育も既存インフラも、コミュニティーも経済も、つくり変えたり修復したりする作業が絶対に欠かせなくなる。「発明はすべて苦し紛れの知恵」と自動車メーカーの創業者は言った。これまでと違った形で企業に協力を仰ぐのだって道、街が自前でつくり変えるのだって道。要は、万策尽きている場合ではない。

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