グーグルは検索サービスでの圧倒的なシェアを武器に競合を排除していること、アップルはアプリ配信サービスのアップストア上で競合アプリが不公平な扱いを受けていることが批判の対象となった。フェイスブックは過去の企業買収が競合つぶしの目的で実施されたのではとの指摘がなされた。そしてアマゾンは、ネット通販サービスに出品する外部事業者の販売データを不正利用していたことが問題視されている。

 10月には米司法省がグーグルを検索事業に関して反トラスト法違反の疑いで提訴した。「GAFA包囲網」は確実に狭まっているといえよう。

 各国の規制は、大きく分けて「反トラスト法」「個人情報保護」「デジタル課税」に分けられている。

 もっとも、こうしたGAFA規制の枠組みには課題も多い。例えば消費者利益と価格支配力を市場の独占・寡占の判断基準としてきた従来の反トラスト法でGAFAを規制するには限界がある。消費者は検索エンジンやSNSなどを無料で利用している。他の競合へ乗り換えるのも自由だ。このような状況のもと「消費者が特定のサービスを使わざるを得ない状況を生み出し、データを収集することで他の事業者が公正に競争できない環境をつくり出している」強力な証拠をどう集めるのか。

 個人情報保護などのデータ規制に関してもジレンマが残る。欧州では個人情報等を域外に持ち出すことを禁じるEUの一般データ規制(GDPR)が施行されたが、行き過ぎた規制はイノベーションの阻害につながるとの懸念の声は米国や日本では依然根強い。各国の利害も絡むだけに足並みがそろわず、結果的にグローバルで事業を展開するGAFAに対して有効な制裁手段となっていないのが現状だ。

 デジタル課税をめぐっても、同様の状況に陥っている。デジタル課税とは、GAFAがインターネットを通じてビジネスを世界展開し、各国で莫大な収益を得ているにもかかわらず、物理的な拠点を設けていないことを理由に、各国に法人税を納めていない批判から生まれたものだ。経済協力開発機構(OECD)では、2021年半ばにも国内に物理的な拠点がなくても利益を計上していれば課税できる枠組みを作ろうとしているが、自国の産業保護政策の観点から、米国はこうしたルール作りに反対している。欧州と米国の温度差は大きく、結果的に、足並みのそろわない状態がGAFAを利することにつながってしまっている。

GAFA間で起こる「越境」

 各国の規制当局の動きをしり目に、GAFAは着々と次の手を打ち始めている。最近、目立ち始めているのが、GAFA同士が互いの主力事業に乗り込む「越境」だ。

 例えばフェイスブックは事業の多角化を目指すべく、EC事業を強化しようとしている。5月には企業が商品の写真や価格を入力すれば簡単に「オンラインショップ」が開けるサービスを開始した。また、インドの携帯電話大手ジオ・プラットフォームズに57億ドル(約6190億円)出資し、同国のEC市場の開拓を進めることも明らかにしている。アマゾンを意識しているのは明らかだ。

 一方でアップルが狙うのはグーグルの領域だ。英フィナンシャルタイムスは10月28日、アップルがグーグルに代わる独自の検索エンジンの開発に向けて活動を活発化していると報じた。最新のiPhone端末向け基本ソフト(OS)の「iOS14」にて、アップル独自の検索エンジンを搭載している形跡が見られるという。18年には、グーグルで検索エンジンの開発に関わっていた幹部を引き抜くなどの動きからも、アップルが検索事業を強化しようとしているのは間違いない。

 こうした巨大IT企業同士が互いに攻め合う背景には、規制の手が及ぶ中で事業を多角化しリスク分散しておきたいとの思惑も働いている。フェイスブックやグーグルは広告収入への依存度が高い。一方アップルは、アップストアに代表されるアプリストアからの収入増を目指すも、依然としてハードウエアの販売で収益を稼いでいるのが現状だ。

 そんな中、最も「リスク分散」できているのがアマゾンだろう。EC事業以外にもAWSと呼ばれる企業向けクラウドサービスや、動画サブスクリプションなど、事業の多角化が成功している。次回は、収益を次の投資へと注ぎ込むことで事業領域を拡大してきたアマゾンの実像に迫る。

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