事業拡大に向けて、企業買収にも余念がない。下の表はGAFA4社が20年度上半期に買収した主な企業だ。企業の事業内容はクラウドサービスからゲーム、VR、そして自動運転と多岐にわたる。とりわけ熱心なのがアップルで、これまでに8社を買収した。コロナ禍で企業価値が下がったところをチャンスと見ているようだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 コロナショックで多くの企業が人員削減に手を付け始めているが、GAFAは雇用面でも貢献している。アマゾンは3月に、EC需要の急増を受けて、米国内の物流拠点や小売店を中心に新たに10万人を追加で雇用すると発表した。

 これだけではない。映画の興行収入が軒並み減少したハリウッドでは、興味深い現象が起こっている。ハリウッドでは製作費用の高い映画作品にまつわるプロジェクトがとん挫する事態となっているが、ここで働くVR(仮想現実)・AR(拡張現実)アーティストたちが、こぞってシリコンバレーで働き始めているのだ。

 彼らは主に、映画におけるコンピューターグラフィックを駆使したデジタル効果技術を手がけてきた。こうした技術が、GAFAが実用化を目指すAR/VRアプリケーションやハードウエアの開発に生かされているというのだ。より五感を駆使したリアルな複合現実空間を構築する技術が完成すれば、消費者に新しい体験やサービスを提供することができる。

 GAFAはコロナ禍を機に、次世代に役立つ人材を獲得しているといってもよいだろう。コンサルタント会社アクセンチュアの試算によれば、米IT企業はARとVR技術に約210億ドルを投資する見込みだが、この数字は3年後の23年には現在の6倍弱となる1210億ドルにまで膨らむ可能性があるという。

東証1部全上場企業の時価総額を抜く

 皮肉にもコロナショックは、巨大なGAFAをさらに「焼け太り」させている。4社の時価総額は、米国を代表するS&P500種株価指数の時価総額の15%を占める。4社に米マイクロソフトを加えた時価総額の合計は今年4月、560兆円となり、日本の東証1部上場企業の時価総額を超えた。

[画像のクリックで拡大表示]

 外出自粛で人々の行動範囲が狭まる中、GAFAが提供するサービスや製品に依存せざるを得ない状況が、GAFAを勢いづけている。検索窓に打ち込まれたデータや買い物履歴、SNSで「いいね」を集めた投稿──。GAFAのもとには人々がサービスを使えば使うほど、次のビジネスの「種」につながるデータが集まる。それは、他の事業者の参入機会を奪うことにもつながっている。

 一国の経済力に並ぶ資本と影響力を持つGAFAに対し、市場を独占していると国や規制当局の風当たりは年々強まる。自国企業保護の観点から規制に慎重だった米国も、公正な競争が阻害されていると方針を変え始めた。司法省、連邦取引委員会(FTC)、米議会下院司法委員会など、複数の当局が19年以降、同時に調査を進めてきた。

 その象徴的な出来事が、7月29日に開催された、下院司法委員会による公聴会だろう。公聴会はオンラインで開催されたが、出席したGAFAのトップたちは議員たちからの激しい攻撃や批判にさらされることとなった。

次ページ GAFA間で起こる「越境」