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半導体をめぐる米中の対立の余波を分析する本連載。第4回「『だからこそ燃える』、紫光集団幹部・坂本氏の執念」まで、米国の輸出規制によって世界の半導体サプライチェーンが混乱し、中国は国産化の旗を降ろさずに徹底抗戦しようとしている様子をまとめた。米国・台湾・韓国・中国の企業による競争が激しくなる中、日本の半導体メーカーはどう生き残るべきか。ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。

柴田英利[しばた・ひでとし]氏
1972年生まれ。95年東京大学工学部卒、JR東海入社。米ハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士号)を取得。MKSパートナーズ、メリルリンチ日本証券を経て、2009年9月に産業革新機構入社。13年10月にルネサスエレクトロニクス取締役。執行役員常務兼CFO(最高財務責任者)を務め、19年7月から社長兼CEO(最高経営責任者)。(写真:加藤 康)

米国の輸出規制の影響で中国が半導体の国産化を強く推進しています。ルネサスは売上高の2割を中国で稼いでいますが、中国市場に半導体が売れなくなる不安はありませんか。

柴田英利・ルネサスエレクトロニクスCEO(以下、柴田氏):先のことは本当に分かりません。ただ、今は中国向けが落ちていくという確たるリスクはあまり見えず、伸びる方向にあります。中国の売上高のうち現地企業向けは半分以下ですが、順調に伸びています。

 むしろ引き合いは強くなっている。同じ条件だったらやっぱり米国の会社から買うよりは日本の会社から買っておいた方が安心だと中国の顧客が考えているのでしょう。

米商務省が米国の技術を使う半導体の中国・華為技術(ファーウェイ)への輸出規制を強化しました。現在、ルネサスもファーウェイ向けには出荷できない状態ですか。

柴田氏:ごく一部のライセンスを取っているもの以外は当然出荷できていません。ただ、ファーウェイは今回の厳しい措置になる前から自社開発や国内調達を進めていたので、ファーウェイ向けの売り上げは以前から落ちていました。だから今回、「うわ、大変!」ということにはなっていません。

 ただ、状況はどんどん変わります。長期的に楽観視しているわけではなく、常にいろいろな事態を想定しています。

中国は確実に力を付けてくる

日米半導体摩擦の後、日本の半導体産業は弱体化しました。中国の半導体産業は衰退する、もしくは反対に盛り返していく。どのように見ていますか。