花王の澤田道隆社長はコロナ禍が広がり始めた3月、消毒液を「100倍増産せよ」と社内に号令をかけた。結果として1カ月で生産体制を20倍超まで引き上げることができ、現在もその水準にある。組織を動かしたのは、一見無謀にも思える大号令。ピンチの際に高いハードルを課したことで、社員が今まで以上に一丸となった。

「消毒液を待っているお客様が大勢いらっしゃる。生産量を100倍にするくらいの増産体制をとってほしい。何が何でもメーカーとしての責任を果たそう」
3月上旬、澤田社長はコロナ禍への対応を検討する社内の会議で、各部門の幹部にそう号令をかけた。医療機関や一般家庭で「ビオレu 手指の消毒液」などの需要が急増し、商品が店頭から消え、EC(電子商取引)サイトでは価格が数倍にも跳ね上がっていた。消毒液はコロナ対策の「要」となる商品。それを安定供給できなければ、社会的な信頼を失いかねない。
澤田社長が「100倍増産」を呼びかけたのは、会社全体が“非常事態モード”になる「スイッチ」を入れるためだった。
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