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コンベヤーシステムなどの老舗メーカー、中西金属工業(大阪市)は9月、主要事業部の一つに「ティール組織」の仕組みを導入した。上司も部下もなく、社員が同等の決裁権を持つ。コロナ禍で一段と厳しい経営環境となり、変革を起こすために若手にも権限を持ってもらう狙いだ。社内はどう変わろうとしているのか。

 中西金属工業は自動車などの製造工場向けのコンベヤーシステムを製造する輸送機事業部を「ティール組織」に再編した。ティール組織とは、上司と部下の間で指示系統が存在するピラミッド型ではなく、従業員一人ひとりが同じ権限を持って会社の目標達成を目指すフラットな組織のことだ。

 輸送機事業部に所属する国内約240人(全社員の5%)が対象となる。そこでは部長、グループ長、チーム長などの役職や上下関係をなくし、各部員に事業部長とほぼ同等の決裁権を与えた。意思決定を迅速化し、年齢や経験に関係なく、やる気がある部員が事業を主導できる環境を整えた。1924年に創業した老舗としては、思い切った変更だ。

入社2年目の社員が事業計画をまとめ、1度の社長プレゼンで、自動除菌ロボットを開発した香港企業との業務提携を決めた

 新たな組織の形を取り入れ、成果として表れたのが、香港の医療機器メーカー、タイムメディカルと9月に基本合意した業務提携だ。同社は世界初の新生児向けMRIを開発した高い技術力を生かし、自動除菌ロボットを開発。既に中国・武漢の病院や香港国際空港などに導入されており、これを日本の空港や商業施設に売り込む狙いだ。

 主導したのは入社2年目の松本愛果氏。部全体の本格導入を前に、4月にティールを先行したグループ内で、「コロナで自動除菌ロボットが必要になるが自社開発は時間がかかる。ふさわしい提携メーカーを世界から探せないか」という話が出た。