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歴史学者の磯田道史・国際日本文化研究センター准教授は、歴史を振り返ると日本は幾度もピンチをチャンスに変えてきたと語る。日本人は平時には変化を起こしにくい。だからこそ、危機がより大きな意味を持つ――。磯田氏はコロナ禍についても、日本が変わるきっかけにすべきだと話す。

磯田道史(いそだ・みちふみ)
1994年、慶応義塾大文学部卒。2002年、同大学院文学研究科博士課程修了。茨城大人文学部准教授、静岡文化芸術大学文化政策学部教授を経て16年から国際日本文化研究センター准教授。専門は日本史学。著書に「武士の家計簿」(新潮社)など。20年9月に「感染症の日本史」(文春新書)を出版した。

 日本人は、「経路依存性」が高いのが特徴です。過去の道筋に依存しやすく、なかなか、やり方を変えられないのです。しかし、危機に直面すると、割合に素早く仕組みを変えてきました。歴史を振り返ると、そんな日本人の環境適応のパターンが見えてきます。

 例えば、鎖国を続けていた日本に開国を求めた1853、54年の2度にわたるペリー来航です。恐怖を感じた日本人は彼らの軍艦を「黒船」と呼びました。来航のたびに、ペリーの黒船からは数十発の空砲が発射され、江戸は大混乱に陥ったといいます。日本の大きなピンチでしたが、これをきっかけに開国に踏み切り、近代化が進んでいきます。